一般参加者(匿名希望)
我が家に薪ストーブが導入されてまだ、1年。 薪の確保も手探り状態。そんなときに森づくり講習
会の知らせを聞いて、夫婦で参加しました。
早朝、集まったのは20人程度。 その中で30代前半は私たち夫婦と、友達夫婦だけでした。
班毎に分かれて、ウッドチップ作り、集材、薪づくりをそれぞれ森づくり部会の人たちに説明を受け
ながら作業をします。 まずウッドチップ作りです。 大型機械に次々に間伐材を投入していく作業
は10人くらいで順番に行うので、さほど大変ではありませんでした。 むしろ、自分が投入した木
が機械を通し、すぐシュレッダーのごとく出てくるウッドチップを見るとワクワクしました。
檜混じりのウッドチップを手に取り、匂いをかいで楽しんだ後は、山中に向かいます。 山にはたくさ
んの木が倒れていて、チェーンソーで大体の大きさにカットするのですが、これは大変な作業です。
足場の良くない斜面でチェーンソーを使うこと自体、緊張する作業ですし、切ったあと、木を運び出
さなければなりません。 森づくり部会の方々の指導のもと、私たち夫婦は慣れないチェーンソーに
汗まみれになりながら、必死で木を運び出しました。
その後、薪割りをし、箍(たが)に薪を収納する方法を教わり、講習は終わったのですが、日常生活
では学ぶことのできない大切なことを教えてもらいました。
山での作業は大変でした。 チェーンソーでの作業は危険を伴いますし、間伐材を運び出すのも、
薪割りも体力勝負です。 でもだからこそ1人ではなく、たくさんの人たちと声をかけ合って作業し、
協力しあうことが大切だと感じました。 また、僕たち世代では知りえない知識を人生の先輩たちに
教えてもらうことも大切です。 若い世代へ伝承し、若い世代のパワーで山を守っていく必要がある
と思いました。
今、森林税の導入など、メディアでも間伐材について取り上げられています。 ただ、正直、私た
ち世代にはいまいちピンときません。 石油での生活が当たり前、山で遊ぶことなんてほとんどなく、
山との接点があまりないからです。 たまたまわが家は薪ストーブを使い始めたため、山へ行く機
会ができ、今回の講習に参加するに至りました。 利便性ばかり追求する時代に、ちょっと不便な薪
ストーブを生活に取り入れたからこそ、今直面している問題を身近に感じることができ、また、実際
体験することで、我々世代はどんなことをしていかなければならないか肌で感じることもできました。
また、このような講習会があれば、参加したいと思います。
最後に、ひと汗かいた後に食べた豚汁はとてもおいしかったです。
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信州大学大学院農学研究科森林科学専攻 古谷健司
10月4日の「森づくり講習会」に参加した。 班編成で集材、薪づくり、チップづくりをそれぞれ体験し、
自然観察路へのチップ敷きも行った。
吉田山には何回か来たことがあり、いつも想うのだが、駐車場が小さくて狭い。 今回のイベントに
しても、もっと多くの参加者があればパンクしてしまう(トイレを含めて)。
そもそも『市民の森』に多くの人たちが参加し活動することを想定していないのではないか・・・・・と、
つい想ってしまう。そんな中、会員の人たちは誠心誠意対応されており、頭が下がる。
“里山整備”について日頃考えていることがある。 茅野市の森林・林業にスポットライトを当てると、
民有林の中で、個人有林5,711ha(38%)以上に大きなものとして財産区有林6,740ha(45%)の存在
が浮かび上がってくる。 長野県の財産区有林が6%であることと比較すれば、その大きさに驚くの
である。 更に、民有林の人工林面積6,583ha(45%)の中に占めるカラマツの比率が92%と長野県の
26%と比較しても異常に高いことも特徴の一つである。
また、産業部門別就業者数を見ると、第一次産業の林業就業者は20人(0.01%)と、林業従事者が
極めて少ないということも特徴である。以上のことから、市の総面積の76%を森林が占めるものの、
これらの森林の大半はかつて農業との関わりが大きかった“里山”としての位置づけであるといって
も過言ではない。従って、茅野市の森林整備を考えた場合、当然里山の整備ということになる。
「茅野市ふれあい里山づくり条例」に基づく市の主導する2つの里山づくり『市民の森・吉田山』及び
『永明寺山ふれあいの森』の取り組みは、市全体の森林整備を進める上でのケース・スタディーで
あり手本ともなりうるので、是非とも成功させる必要がある。2つの里山づくりの活動は、いま入口に
入ったところであり、課題もあるようだ。
「パートナーシップのまちづくり」を目指す市民主導・行政支援による公民協働が是非必要である。
多くの人たちの協力が不可欠であり、様々な人たちの参加なくしてその達成は不可能である。
持続可能な里山づくりの実現には、市民の主体的な参加が前提になるので、「八ヶ岳森林文化の
会」の活動が一層期待される。