県内外森林観察会[9月26日 森林観察学習部会]
案内は、赤沢自然休養林で、ガイド活動、植物の研究・保護活動、遊歩道の整備、自然保護の啓蒙活動を行っている、NPO法人 木曽ひのきの森の横井さん(理事長)、山戸さん(事務局長)のお二人にお願いしました。
実際にこの森で活動している方の熱意に満ちた説明は、説得力があり、心に残るものでした。
県内外森林観察会[9月26日 森林観察学習部会]
森林セラピーのススメ
見浦 崇さん(上松観光開発有限会社 森林セラピー基地マネージャー、森林セラピーガイド)から森林セラピーのガイダンスを受ける。
森林セラピーとは
森林の有効な成分(環境、発散物質など)によって心身を癒す、新たな健康増進法 |
フィトンチッドとは | ||
森林には、植物から「フィトンチッド」と呼ばれる物質が発散されている。山の香りの成分でもあるフィトンチッドは、 細菌やウィルスから身を守るための殺菌力があると言われてきたが、近年の研究によってヒトの生理機能に有効な作用を持つことが実証されてきた。 | ||
●健康増進作用 | ||
フィトンチッドにより、ヒトNK細胞活性や抗がんたんぱく質濃度の上昇が認められた。 | ||
●予防作用 | ||
フィトンチッドにより、ヒトNK細胞の抵抗力が高まることが認められた。 | ||
●回復作用 | ||
フィトンチッドにより、ヒトNK細胞の低下した機能を回復することが認められた。 | ||
免疫機能を強化し、効果が4週間継続する。 心身のリラックス効果をもたらす |
さあ! フィトンチッドを浴びに出発
午前(黄色の矢印):冷沢コース 冷沢峠付近のヒノキの天然林を見ます。 午後(橙色の矢印):向山コース 遊歩道の設置等、保全活動の様子を学びます。 |
オオヤマレンゲ(大山蓮華)の実 (モクレン科 モクレン属) 6月には、オオヤマレンゲが可憐な白い花を咲かせますが、今はグロテスクな実がなっています。オオヤマレンゲは上松町の町花になっており、種を採取し苗木を育てる取り組みも行われている。 |
床堰(とこせぎ) 森林鉄道ができる以前に、この地域から木材を搬出するときには、このような床堰で水を貯め、水深を上げ、堰を切ってその水流で木材を下流へ流したそうだ。 |
マルバノキ(丸葉の木) (マンサク科 マルバノキ属) ヒノキの下層木として赤沢自然休養林ではマルバノキが多い。今、花が今咲いていて、その実は来年実る。葉は真っ赤な紅葉が美しく、10月には全山真っ赤に染まるのだそうだ。 |
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花 |
実(去年の花が今年実った) |
葉 |
シロモジ(白文字) (クスノキ科 クロモジ属) 同じ属のクロモジの樹皮が黒いのに対して、この木は灰褐色なのでシロモジだそうだ。 沢沿いによく見られました。 |
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葉 |
幹 |
ネジキ(捩木) (ツツジ科 ネジキ属) 幹がねじれているのでこの名がついたそうです。確かに幹がねじれています。 |
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幹 |
葉 |
ツルアリドオシ(蔓蟻通)の実(アカネ科 ツルアリドオシ属) 実にアリが通ったような黒い点が2個ついている。 |
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ツルツゲ(蔓黄楊)の実(モチノキ科 モチノキ属) | |||
バイカオウレン(梅花黄蓮)(キンポウゲ科 オウレン属) 全山で見られ、絨毯のように群生する。春、雪解けのあと一面に白い花をつける。 |
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ツルリンドウ(蔓竜胆)の実(リンドウ科 ツルリンドウ属) | |||
大樹(たいじゅ)
かつて神宮備林(伊勢神宮御造営用材)を伐り出すための森林として管理されていた時代に、直径60cm以上で形質優良な木曽ヒノキを「大樹」と称して台帳で管理されていた。 赤沢周辺では2,690本が指定され、これはその1本。 |
昭和60年御神木伐採跡地
神事の様子の説明を聞き、その時歌われたという木遣り唄を聞かせてもらいました。 木遣りが林に響き渡り、しばし神聖な雰囲気でした。 |
午後、向山コースへ
遊歩道にチップを敷く作業中のコースを行きます。
散策と森林資源の保全を両立するための活動を紹介して貰いました。
走り根
この山は表土が浅く、その下は岩盤。そのため深根性のヒノキであっても根は深く伸ばせず、横へ這うことになる。根は木の高さ程四方に広がる。結果、表土の上に這った根が出てしまう。 |
森林環境の保全活動
このヒノキ林では、走り根が露出している。見学者が根を踏んで傷つけないようチップを敷く作業を進めている。遊歩道に間伐材で枠を作り、子ども達のボランティアがチップを担ぎあげ撒いているのだそうだ。子どもたちも、作業の意義を理解すれば本当に全力で作業するという。
また、チップですべてを隠してしまわず、作業の意義を理解してもらうため、部分的に走り根が見えるような工夫もされている。
根上り木 | 切り株にはたくさんの芽 | |
根上り木はこうしてできる。
この林には根元に穴が開いた木(根上り木)が多い。
ヒノキの切り株に種が落ち実生の芽がたくさん出て、生存競争の末、強い子が生き残り、親(切り株)の栄養を貰って大きく育つ。そして親が朽ち果てて根元に大きな穴が残る。根上り木はこうしてできる。
我々は朽ち果てる前に何が残せるのだろうか。
人工林
適正な時期に間伐が行われていない。
コブシ(辛夷)( モクレン科. モクレン属) オオヤマレンゲと同じモクレン科。実も似ている。 実は鳥に食べられ母樹から離れた所に糞と一緒に落とされて発芽する。 |
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何だろう? 説明を聞き逃した。 | |||
今日のあなたの印象に残ったことはありましたか?
植物のこと あった(20人) | |
★オオヤマレンゲ(6人)、★木曽五木(2人)、★バイカオウレン(2人)、★やっぱりヒノキ、 ★森の大切さ、★木曽特有のもの、★説明を受けた事全部、 ★八ヶ岳山麓の豊かな自然の再認識、 ★オオヤマレンゲを増やそうと努力している。 ★お花が見えてよかった。 ★木々(ひのきなど)の違いが良く分かった。 ★自分の知らない花などを知る事が出来ました。 ★自然を大切に、手入れも行き届いていて良かったです。 ★下草の豊かさ(しょうじょうばかま、梅花おーれん、など)。 ★天然更新でもしっかり手入れをすると、人工林の様に出来る。 |
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森林セラピーのこと あった(16人) | |
★木曽の森林の素晴らしい雰囲気を感じました。 ★森林の力を見直した。生きていくのに力をもらおうと思った。 ★森には免疫力を強める力があるということ。 ★4週間もセラピー効果が続くという事。 ★気分爽快、癒されました。 ★見る物が目にやさしかった。 ★セラピー効果の具体的な実感をできた。 ★フィトンチッドの効果が分かった。 ★機嫌良く過せた。★気分よかった。★よくわかりました。 ★リラックス効果、★体に良いこと、★人間ドック、★人間回復 ★ガイドもセラピーの話をもっとして良いと思う。 |
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森を守るということ あった(18人)、ない(1人) | |
★檜の人工林の状態には悲しいものがあった。 ★赤沢林はもっと手入れがしてあると思ったが荒れているところもあり驚いた。 ★森を守るためにあすなろの木を切るということ。 ★代々森林を守っていかないと、★手入れが必要、★手入れの大切さ、 ★自然林ばかりでなく、人手が入ることも必要なこと。 ★チップ敷き、★チップ舗装、★チップ敷の効果、 ★ボランティア、青少年をまきこんでいる事、★1人1人の力、 ★水源としての役割 ★ガイドさんの説明でよくわかった。★牛山六郎(横井氏の師)、★横井さんのお話し全て |
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森林にまつわる文化のこと あった(16人) | |
★伊勢神宮の御神木がここにあるということ。 ★伊勢神宮の建て替に木曽のひのきが使用されている。 ★御神木、★伊勢神宮の御神木 ★数百年の昔から森を大切にしてきた。 ★伐採方法の話は参考になった。 ★そま人の知恵(注 そま:木辺に山という字、意味:きこり)、★日本の昔、★皆伐 |
2010.9.26