活動実績報告


第5回森林文化学習会[3月13日 森林観察学習部会]

〜森林文明の変遷を通して人と森林の関わりを学ぶ〜
森林に囲まれて生活している諏訪圏の市民として、森林と人との関りを理解し、私達の生活圏の今後をより豊かなものにしてゆく指針を学びます。
日  時 3月13日(日)午後1時半〜午後4時半
場  所 茅野市文化センター 学習室
講  師 中堀 謙二先生(信州大学農学部 講師)
参 加 者 23名(会員14名、一般参加9名) 
     
 今回は最終回、「現代日本人の自然観と今後の人と森との関係」について学びました。
 地域内資源の利用から地域外資源の利用に生活スタイルが変わることによって、地域内の森林の増大と荒廃を招いている。 そして自然再生力の強い日本の特質を生かして日本人の生活スタイルを変えていくことが大切である。
これらから、森林を利用し、親しみ、森林が私達にとってかけがえのない存在になるように知恵を絞って行かなければならないことを学びました。

20110313学習会
 最後に茶話会形式で「この学習会で知り得たこと、自然への接し方等を後世に伝えてゆくには?」というテーマでデシカッションをしました。
時間が足りず、十分に議論を尽くすことはできませんでしたが、 小学生のうちに森に接する機会を増やす等、教育面での工夫が重要であろうという認識では一致しました。

20110313学習会
     

学習会レジメ

 

現代日本人の自然観と今後の人と森林の関係
信州大学農学部  中堀謙二
1. 日本:社会と価値観の大転換
  高度経済成長期
近代から現代へ:自然から自立する日本人
  (1) 資源の変化
  木質エネルギー → 化石エネルギー
  増える外材・減る国産材
  増える食料輸入 減少する食料自給率
  近代から現代へ:自然から自立する現代日本人
  (2) 里山の変化
  増加する日本の森林面積(1929年〜)
  増加する日本の森林蓄積
  (3) 自然観の変化
  金があれば生きられる
自然がなくても生きられる(自然からの自立)
2. 深刻化する環境問題 高まる環境意識
  (1) 木質エネルギー → 化石エネルギー
  (2) 観光開発か自然保護か
  (3) 環境意識の変化
  (4) 環境問題の移り変わり
3. 現代日本人の自然観・環境意識
  自然から自立(自然はなくても生きられる)
  ・自然・森林が失われる
  ・自然には従うべき
  ・自然・生物多様性の保護が必要
  ・原生的自然への憧れ
4. 新たな課題
(1) 減少する森林・増加する耕地
熱帯林の減少問題
(2) 地球温暖化
森林の減少・温室効果ガスの増大
(3) 増加する人口と耕地・減少する森林
5. 環境意識鈍感・環境負荷大の国々
6. 自然再生力の強い日本の課題
回復力の弱い地域への資源依存
7. まとめ 私達にできること
21世紀は何が必要か?
日本でできること 自然・森林を身近な存在に

参加者の声(アンケート)

森林文化学習会 アンケート集計  (回答者数 19名)
1. 学習会全般の内容
・よく理解できた(15) ・少し難しかった(2) ・この中間(1) ・難しかった(0)
2. 参加して良かったですか?
・とても良かった(10) ・良かった(8) ・解答無(1)
3. 学習会参加の動機
・人と森との関係を深くしりたかった。(8)
・気候と森林の関係、地球の気候差と森林文化の変遷に興味があった。(7)
・日本での森林の変遷と人々の暮らしの変遷を深くしりたかった。(8)
・単に「森林文化」について、どのように説明するのが良いか知りたい。(3)
・その他(2)
4. 学習会の運営について
(1) 一回の学習時間 ・適当だった(14)  ・長かった(2)  ・短かった(0) ・解答無(2)
その他の意見として: 勝手に時間延長するな。
(2) 5回シリーズでの学習会回数 ・適当だった(12) ・多かった(1) ・少なかった(1)
・解答無(5)
(3) 学習会資料は? ・見易かった(13) ・見難かった(0) ・適当だった(1) ・解答無(3)
  ・その他: 縮小されていて醜いものもあった。
(4) 質疑時間は? ・適当(12) ・短かった(5) ・解答無(2)
(5) その他気が付いた点
・単なる質問時間でなく意見交換時間が欲しい 茶話会形式良かった。
・幅広く専門的な内容もあり良かった。
・とても興味深く勉強になりました。講師が準備もしっかりとして学術的(論理的)説明でしたので分かり易かったのだと思う。
5. 今後どのような学習会を望むか?
分野は? ・環境問題(8) ・ 生物生態(5)【植物(2) 昆虫(1) 他(1)】 ・森林一般(8)
指導いただきたい講師は?   島崎洋路 氏  鷲谷いづみ 氏  樋口広芳 氏
6. 今後の活動への要望等
・生態系サービスとしての森林の役割はとても大きいと思うので、啓発 啓蒙活動が望ましい。
・生活と森林、里山関連の状態、状況を理解したい。
・シリーズで壮大なロマンが感じられる学習会で、単発の講演会より充実していたと思う。
・この会が森林保全の具体的活動を立案して皆に参加を呼びかけていただければ、それに参加して私達も環境に良い事やささやかだけれど子孫に良いことできたかなと自己満足できるのですが。
7. 参加した方の地区
・茅野市(9) ・原村(7) ・ 諏訪(1) ・岡谷(1)

2011.3.13