事業報告


講演会[11月20日 森林観察学習部会]

〜諏訪圏の地理・地形の成り立ちと特性を知ろう〜
 今年春に起こった大震災では、自然の凄まじい脅威に畏れを感じました。
 中央構造線とフォッサマグナが交わる特異な地域に暮らす私達は、改めてこの地形、地質をよく知り、普段の暮らしの中での備えを学びます。
茅野市
日  時 11月20日(日) 14:00〜16:00
場  所 茅野市八ヶ岳総合博物館
講  師 小池 春夫先生(前茅野市八ヶ岳総合博物館館長)
参 加 者 47名 (うちスタッフ3名)
後  援 茅野エコツーリズム協議会
20111120講演会 20111120講演会

講演概要

諏訪地域の地形・地質
講演資料より抜粋
1. 分杭峠と杖突峠の話
0磁場 癒し
2. 中央構造線と糸魚川―静岡構造線(以下「糸静線」という)
日本列島の二つの代表的な大断層 構造線とは大きな地形をつくった断層
杖突峠(晴ヶ峰)は、中央構造線と糸静線の交差する位置にある
中央構造線は九州〜四国〜紀伊半島〜東海〜静岡〜伊那(南信濃・大鹿・長谷)〜杖突峠
〜岡谷(横河川)〜北関東 の断層 約1000km <恐竜時代の古傷>
糸静線はフォッサマグナ(大地溝帯)に西縁の断層 新潟糸魚川〜静岡 約250km
 活断層として知られる  <南北アルプス形成 新生代第三紀時代>
3. ”動かざること大地の如し”か
頻発する地震
   阪神大震災(95.1) 鳥取県西部地震(00.10) 宮城県北部地震(03.7)
   十勝沖地震(03.9) 新潟県中越地震(04.10) 福岡県西方沖地震(05.3)
   能登半島沖地震(07.3) 新潟県中越沖地震(07.7) 岩手宮城内陸地震(08.6)
   岩手中部地震(08.7) 東日本大震災(11.3.11) 秋田沖地震(11.3.12)
   長野県北部地震(11.3.12) 静岡東部地震(11.3.15) 松本牛伏寺地震(11.6.30)
大地を動かすもの
 プレートの移動
  ドイツのウェグナーが、1912年に大陸漂移説を提唱したが、力学的にありえないと否定される
  1950年代に古地磁気学データにより見直され、60年代には支持されるようになる
4. 諏訪大社上社”御神体”守屋山のおいたち
守屋山が誕生したのでいつか
 地質時代 新生代第三紀中新生(今から2000万年前〜)
どのようにして
・日本列島は大陸の縁辺部  恐竜時代
  ↓
・日本海の形成 日本列島の成立  哺乳類の時代
  ↓
・フォッサマグナの海(大地溝帯、割れ目の意)
 本州孤の中央部を日本海から太平洋にかけての横断地帯  日本海、太平洋から海進
 西縁は糸魚川―静岡構造線(約250km) 東縁は柏崎―銚子線
(糸魚川-大町-松本-岡谷-有賀-真志野-神宮寺-安国寺-金沢-富士見-韮崎-赤石山地の東端部-静岡)
  ↓
・守屋地域の陥没が起こり、守屋の海になる
  ↓
・すでに山地であった赤石山地から 守屋の海に礫(れき)・砂・泥が流れ込み堆積
 れき岩・砂岩・泥岩 となり、棲息していた軟体動物、植物が化石をして保持される
 約100種類産出
  ↓
・海底火山活動が起こる 海底に緑色凝灰岩(グリーンタフ)ができる
  グリーンタフは火山岩の有色鉱物(輝石や角閃岩等)が熱水等により緑泥岩や緑れん岩に
  変質し緑色の岩石になる
  ↓
・グリーンタフ造山運動が起こる 海退く 中央隆起帯
  地下の深いところから、マグマによってできる花崗岩やせん緑岩などの深成岩が上がって
  きて たい積したれき岩、砂岩、グリーンタフが突き上げられ堆積物が海底から陸上に
  顔を出す
  ↓
・更に隆起し、山となり浸食作用によって 堅い緑色凝灰岩(グリーンタフ)を残していまの守屋山(1650m)となる
5. 諏訪盆地のおいたち
@ 今から約1億年〜3000万年前 赤石山地の隆起 (主として恐竜時代)
  ↓
A 今から約2400万年〜2000万年前 フォッサマグナの海 れき、砂、泥の堆積
  ↓
B 今から約2000万年〜500万年前 海底火山活動 緑色ぎょうかい岩(グリーンタフ)
  ↓     隆起 陸化 花崗岩など(大泉・小泉山)
C 今から約200万年〜100万年前 塩嶺の火山活動 (西山の安山岩など)
  ↓
D 今から約100万年〜50万年前 諏訪盆地 霧ケ峰火山 鉄平石 古八ヶ岳火山
  ↓
E 今から約50万年〜30万年前 諏訪湖 新八ヶ岳火山
  ↓
F 今から20万年前以降 今の諏訪の地形
6. 八ヶ岳火山
茅野市の大地の大部分は八ヶ岳火山の噴出物でできている
約120万年かかって地下の深い所でできたマグマが噴出してできた火山
南北約21kmに、東列と西列の2重配列が半円を描く火山
研究者は八ヶ岳火山列と呼んでいる
八ヶ岳火山は 休止期をはさんで 古八ヶ岳期と新八ヶ岳期の活動により形成
夏沢峠を境として「南八ヶ岳」「北八ヶ岳」と呼ぶことがある
噴出した溶岩はほとんど安山岩
地形から すそを長くひく成層火山(古期に多い) 溶岩丘火山<(新規に多い)が見られる
マグマの粘り気による ケイ素の多少 多粘り気あり
2003年に北横岳は活火山と認定された
活火山は 日本では おおむね過去以内に噴火した記録があるか 現在活発な噴気活動のある火山という基準 北横岳は今から約1万年前以降の噴火といわれる
 活火山
  Aランク(最も活動度が高い)浅間山 三宅島 桜島 新燃岳など
  Bランク(活動が中程度)富士山 霧島山など
  Cランク(活動度は最も低い)八ヶ岳北横岳 赤城山など

参加者の声(アンケート)


アンケート集計   アンケート回収 20件
1. 本日の講演会はどのようにしてしりましたか?
  広報(13)、新聞案内(2)、ちらし(0)、口コミ(2)、会員情報(2)
2. 本日の講演会に参加して良かったですか?
  期待通りだった。(17)
 ・構造線がよくわかった。
 ・展示室での八ヶ岳の説明に引きつけられました。
  期待したほどではなかった。(3)
 ・スライドと説明が結びつかなかった。
 ・もっといろいろ質問してみたかった。
  失望した。(0)
3. 今後、参加したい講演会のテーマや講師等 希望があれば。
  八ヶ岳の生物について
  地震に関係した話
  諏訪湖の形成と変遷―埋立、諏訪大社の建立など
  この講義のつづきが聞きたい。
  原村ミヤマシロチョウの会の講演
  数回に分けて話を聞きたい。
  今回の講演の次の歴史
  今後希望が出て来たらどこへ連絡すればよいのか知りたい。
4. 本日の講演会に参加しての感想や、ご意見等お聞かせください。
  進行方法をプロジェクターオンリーで実施してもらいたい。レジメとプロジェクターがたびたび変わるのが大変。室内照明が暗いので読みづらかった。
  スケールが大きすぎの感、もう少し焦点をしぼっては?
  分かりやすくて良かったです。小池先生ありがとうございました。
  素晴らしい内容であった。
  興味深いお話しで大変勉強になりました。ありがとうございました。(4)
  回数を増やして欲しい。
  またゆっくり見学したい。
  興味深く伺いました。聞くだけでは難しいと感じました。
  自分が住む地の歴史(成り立ち)を知ることができた。(3)
  防災上の心構えができた。
  とても具体的でよい(博物館が会場でよい)
日頃茅野市の地質を知りたかったがよい機会であった。

2011.11.20