八ヶ岳(地質・樹木・高山植物)観察会[8月2日〜3日 森林観察学習部会]
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〜八ヶ岳の自然と山小屋の取り組みを学ぶ山旅〜 |
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日 時 |
8月2日(金)〜3日(土) |
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講 師 |
浦野岳孝氏(硫黄岳山荘社長:山岳ガイド) |
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日 程 |
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一日目 |
桜平〜 8:00 |
夏沢鉱泉〜 小休止 |
オーレン小屋〜 小休止 |
根石岳山荘〜 11:30 昼食 |
根石岳〜
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東天狗岳〜 13:00 |
根石岳山荘泊 14:00 |
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山小屋の自然環境保全への取り組み座学〜 15:00 |
夕食・懇親会〜 18:10 |
消灯 20:00 |
二日目 |
根石岳山荘・朝食〜 5:30 |
出発〜 6:30 |
夏沢峠〜
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硫黄岳〜 |
硫黄岳山荘〜
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硫黄岳〜 |
赤岩の頭〜 11:30 昼食 |
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オーレン小屋〜夏沢鉱泉〜桜平〜桜平〜尖り石考古館駐車場解散 |
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講師の浦野氏は山岳ガイドであり、山小屋の経営者でもあります。そのため、八ヶ岳の自然に精通しているだけでなく、山小屋経営者として、トイレ整備から高山植物保護保全まで、自然環境への多様な取り組みをされています。この観察会では、お忙しい中、その一部をご紹介頂きました。
自然環境保全への活動をしている当会にとって、学ぶべきことの多い事業になりました。(市や他団体との協働の必要性や自然エネルギー実践活用などなど)
参加者が19人と登山においては大勢の隊列になりますが、講師、並びに参加者全員終始和気あいあいの行動で全ての行程を予定通り無事進行できました。 数年ぶりに復活した山小屋での宿泊の事業は、懇親会も大いに盛り上がり親交が深まり、充実した事業になりました。
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トピック (事業内容を写真中心にまとめました。)
参加者の声 (参加者の皆さんに、「この一枚」という写真とコメントを投稿して頂きました。)
一日目(8月2日)
● 桜平 スタート
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桜平は、登山道のスタート基地。 ここには、茅野市が設置した仮設トイレがあります。管理は山小屋で行っているそうです。 |
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ハナチダケサシ(花乳茸刺) |
● 登山道の樹木
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コメツガ(米栂) |
シラビソ(白檜曽) |
コメツガ(米栂) と シラビソ(白檜曽) |
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ダケカンバ(岳樺) |
● 登山道の植物
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リンネソウ(リンネ草) |
ズダヤクシュ(喘息薬種) |
アオジクスノキ (青軸酢の木)の実 |
● 登山道の整備
この区間は昨年6月の台風4号で登山道が削り取られる被害がありました。補修は資材費は行政の補助がありますが、人件費は出ません。山小屋が分担して修復作業を行っています。
石などは外から持ち込まず、現地のものを使用されている。
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この付近の石を使った石積み |
激流を食い止める堤 |
● 夏沢鉱泉の水力発電設備
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上流の取水施設 取水した水の枯葉、砂などを取り除き、下流の発電機へ送る。落差35m、長さ180m |
● 夏沢鉱泉
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太陽光パネルを設置
薪の利用 倒木を森林管理局の許可を得て、運びだし薪として使用している。運びだしは大変な作業。 |
● 登山道の植物
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コバノイチヤクソウ (小葉の一薬草) |
イワセントウソウ(岩仙洞草) |
キバナノヤマオダマキ (黄花の山苧環) |
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ギンリョウソウ(銀竜草) |
シナノオトギリ(信濃弟切) |
タカネグンナイフウロ (高嶺郡内風露) |
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凍裂 樹木の中の水分が冬期間の低温で凍結し樹幹に裂け目のできることが原因の一つとされている。 |
● オーレン小屋 小休止
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ミヤマバイケイソウ (深山梅尅吹j |
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鹿の食害
・オーレン小屋付近にあったミソガワソウも見えなくなったそうだ。
・今回の行程全体で、ミヤマバイケイソウの花の部分の食害が目立ちました。
● 根石岳稜線の高山植物
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高山植物の保護 ・人による踏み荒らしからの保護 ・獣の踏み荒らし、食害からの保護
←保護柵の中にも、獣の足跡が残る。 (左写真 黄色枠内)
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コバノコゴメグサ (小葉小米草) |
コマクサ(駒草) |
オンタデ(御蓼) |
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踏み荒らし対策 登山道以外の踏み荒らし防止のためにロープを張って保護されている。 |
コマクサ(駒草) 群生 |
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● 根石岳山荘 昼食
根石岳山稜は風の通り道、次々と雲が昇ってくる。
● 根石岳山頂 標高2603m
● 山稜の植物
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ミヤマダイコンソウ (深山大根草) |
ミヤマウイキョウ(深山茴香) |
ウスユキソウ(薄雪草) |
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イワオウギ(岩扇) |
ミヤマアキノキリンソウ (深山秋の麒麟草) |
チョウジコメツツジ(丁子米躑躅) |
● 東天狗岳山頂 標高2640m
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カメラマンが一人入っていません。 |
西天狗岳 今回は登りません。 |
● 山小屋の自然環境保全への取り組み座学
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1. |
八ヶ岳の自然について |
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分水嶺 (東)千曲川→信濃川→日本海 (西)諏訪湖→天竜川→太平洋 |
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山様相違 (南) 夏沢峠以南:硫黄岳〜編笠岳 (北)夏沢峠以北:根石岳〜北横岳 |
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山様相違 高山植物と動物:シカ・カモシカによる食害の深刻化 |
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2. |
山小屋の環境保全への取り組みについて |
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(1)自然環境への取り組み |
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@トイレ整備:夏沢鉱泉1998年合併浄化槽導入水洗トイレ導入(日本初)
・地元行政の協力 ・環境省などの補助制度 ・山岳地用トイレ技術の向上 |
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(2)自然エネルギーの活用(クリーンエネルギー) |
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@太陽光発電:太陽光パネル設置 |
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A風力発電:風が強すぎて有効ではない |
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B水力発電:60A=100V時 6KW、2軒分の発電量あり(有効落差35m、長さ180m)
水利権等の問題はあるものの、急峻な地形の日本にあってはもっと活用すべき。 |
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(3)植物の保護・保全 |
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@高山植物の採取、踏み荒らし 商売用、無知による盗掘 |
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A鹿の食害対策:
鹿除けネット設置(硫黄岳山荘前・台座の頭電気柵)により一定の効果あり。林野庁からの補助
狩猟免許取得(銃・罠)、ただ殺すのではなく、山小屋の食事として提供も |
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B温暖化:植相変化→低地植物の進出(タンポポなど)による高山植物への影響が懸念 |
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(4)登山道の整備 |
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@自分達で補修:災害等の補修などでも資材費は行政の補助があるが人件費は付かない。
良かれと思って整備しても、事故発生時に対する問題が残る。山小屋責任が問われる
入山料の導入は登山道や環境整備に活用の手立てになる。 |
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まとめ 矢崎 |
● 夕食前に、もう懇親会
● 夕食 と 懇親会本番
消灯時間近くまで、話が弾みました。 |
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● 20:00 消灯
二日目(8月3日)
● 日の出
日の出直後に霧が晴れ、雲海の上の朝日を堪能。
諦めて起きなかった方もいるようでしたが、早起きは三文の徳。
● 6:30 根石岳山荘 出発
振り返って 西天狗岳 東天狗岳 根石岳
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出発 |
ミヤマダイモンジソウ (深山大文字草) |
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小休止 |
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硫黄岳爆裂火口 |
もくもくと登り |
● 硫黄岳山頂
硫黄岳山頂 標高2760m |
バックは 横岳 赤岳 阿弥陀岳 |
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これは全員です。 |
硫黄岳爆裂火口 |
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パン皮状火山弾 硫黄岳稜線の登山道には、外皮に割れ目が入った火山弾が転がっている。 外側が飛行中に先に固まってしまうと、火山弾の内部がまだ膨張を続けるために外側にひびができる。 |
● 硫黄岳山荘へ
● 鹿食害対策
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鹿除けネット設置
環境省の許可を得て硫黄岳山荘の前、台座の頭付近に2カ所電気柵を設置した。設置した場所では確実に高山植物が回復している。 |
● 稜線の登山道の動植物
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ウルップソウ(得撫草) |
タカネニガナ(高峰苦菜) |
コウメバチソウ(小梅鉢草) |
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ベニヒカゲ 草原をベニヒカゲが飛び交う。 10頭に1頭ぐらいの割でクモマベニヒカゲもいるそうです。クモマベニヒカゲは、後翅(うしろばね)裏面 の白い帯が入ります。 |
● 帰り道
お疲れ様です。今回の行程の上りはすべて終了。これからは下りで、赤岩の頭を通り下山します。
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ミヤマダイコンソウ(深山大根草) |
● 赤岩の頭手前 昼食 根石岳山荘で作ってもらったお弁当
赤岳、阿弥陀岳は、雲の中。ときどき、頭をだします。
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ゴゼンタチバナ(御前橘) |
アカバナ(赤花) |
ズダヤクシュ(喘息薬種) の実 |
● そろそろ、旅も終了です。
観察できた植物
センジュガンピ、ハナチダケサシ、リンネソウ、イチヨウラン、ズダヤクシュ、オサバグサ、キソチドリ、
ゴゼンタチバナ、ホタルブクロ、シナノオトギリ、ギンリョウソウ、コバノイチヤクソウ、タケシマラン、
タカネグンナイフウロ、アカバナ、ノブキ、ヤマハハコ、キオン、リンドウ、カニコウモリ、
イワセントウソウ、タカネニガナ、コマクサ、コバノココメグサ、オンタデ、バイケイソウ、チシマギキョウ、
ミヤマウイキョウ?(葉がニンジンみたいなセリ科の白い花)、キバナノヤマオダマキ、ダイモンジソウ、
ミヤマダイコンソウ、イワウメ、ベンケイソウ、イワヒゲ、ムシトリスミレ、ムカゴトラノオ、ヨツバシオガマ、
ヒロハカツラ、ヤハズハンノキ、ミヤマハンノキ、オガラバナ、ダケカンバ、シラビソ、オオシラビソ、
トウヒ、アオジクスノキ、チョウジコメツツジ、ウラシマツツジ、ハイマツ、ハクサンシャクナゲ、
ナナカマド(タカネナナカマド?)
観察できた野鳥(声 or 姿)
(亜高山帯)メボソムシクイ、ルリビタキ、ミソサザイ、コマドリ、ウソ
(高山帯)アマツバメ、ホシガラス、イワヒバリ
●募集中
今回は、皆さんに感想の代わりに、「この一枚」(お勧めの一枚、感動の一枚、苦言の一枚、なんでも)を
お願いすることにしました。
池田
八ヶ岳観察会お疲れさまでした。
体力的にもちょうど良い行程で、楽しめた山行でした。 硫黄岳には何回も登っていますが、なぜか先端方面に行ったことがなく今回が初めてでした。 そこからの会心のショット?ときれいに撮れた根石岳を送ります。 |
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北澤
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ある会話より 硫黄岳登りたーい! おめえ、その足腰で、でー丈夫か 気はだれよりもわかいもーん よっしゃ、その気力で登ろう!! |
やざき
悠久の時を刻む石と健気な生花のコラボ |
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『オブジェ・T』 |
『オブジェ・U』 |
井村(悦)
早起きしてよかった! 朝霧の水滴を受けて、キラキラと輝いていましたよ。 |
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