活動実績報告 平成16年度(2004年)
平成 16 年度総会および講演会[5月23日(日) 幹事会]
会場および時間 茅野市役所 12:00〜17:00
参加者人数 総会 33 名(会員のみ)、講演会 83 名(会員・一般)
事業内容
[総会]
(1)平成15年度事業報告、決算報告
(2)平成16年度事業計画(案)、予算(案)についての報告、決定
(3)役員の改選
[講演会]
演題:森林文化への道 −森のある幸せ−
講師:山形大学名誉教授 北村 昌美 氏
感想等
・恒例の定期総会は、多くの会員の参加によって、盛大に実施することができた。新年度
に向けての事業計画は、幹事を含め、3部会で立案され、創立3年目の経験を踏まえた中
身のある事業計画とすることができた。会員相互の交流という点でも、普段あまり顔を合
わせない会員もおり、お互いの親睦を深める場とすることができたように思われた。
・総会後の講演会は、一般参加者 50 名余りの参加があり、講師、北村昌美先生のお話で
は、森林へのより深い理解を得ることができ、成功裏に終了することができた。
総会 |
講演会 |
第 1 回森林観察会[6月19日(土)、20日(日) 学習部会]
会場 八ヶ岳夏沢鉱泉周辺、夏沢峠
参加者人数 14 名
事業内容
八ヶ岳の地質、火山、樹木の観察会、山小屋の環境への取組み方、方法の視察、親睦会
感想等
・2 日目(20 日)は天候に恵まれず、当初の目的(内容)が実施できず残念であったが、
火山、地質の勉強会においては、何気なく通り過ぎてしまうことが多いわけであるが、改
めて大自然の活動を感ずることができた。
・太陽光発電、水力発電、合併浄化槽等を通して、改めて自然保護の重要性を感じた。
第 1 回学習会[6月24日(木) 学習部会]
会場および時間 宮川地区センター2 階 19:00〜20:30
参加者人数 25 名
事業内容
出前講演会 演題:地球を壊さない暮らし方を考える ---循環型社会と森林---
講師:諏訪東京理科大学 経営情報学部教授 津久井 英喜 氏
[講演の概要]
地方都市(茅野市)を、奥山ゾーン、里山ゾーン、市街地ゾーンに分けた時、人間が自
然の恵みを活かして暮らす里山ゾーンが森林文化として重要になる。
循環型社会がスタートしたが、『使い捨て型』経済システムの限界、そして『循環型』経
済システムが不可欠であるが、法整備されて循環型社会の整備は行われているが、現実に
はうまくいっていない。家電リサイクルでも、ペットボトルの回収でも大量のCO2を排出し
ており、矛盾をもっている。
里山文化の正体を考えると、下古田から小泉山を包むゾーンを響きあう里として、日本
のふるさとの循環型社会のモデルにして、暮らしの里山化を創出する。
感想等
・「響きあう里山ゾーンの創出」という循環型社会への提言内容は、講師の深い洞察による
内容であり、それを具体的な形作りとして、どう取り組みをしていくのかと考えるとあら
ゆるジャンルの連携と協同体制が必要であると共に、今後の生活環境を考えても大切なこ
とであるということを痛感した。
・講師の提案内容を考えると、日々の私達の日常生活が、自然や環境問題に対して如何に
無意識で漠然と接しているか、大いに反省させられた。木を残せば良いのか、木の高さよ
り割り出し自分達で選木した木の間伐作業を行い、参加者の評判も良かった。
第1回森林整備作業[7月4日(日) 森づくり部会]
会場および時間 吉田山 市民の森 9:00〜15:00
参加者人数 11 名
事業内容
「森づくり体験講座」〜除伐・間伐の技術/森を見る、樹木の観察〜
講師: 藤本 智、河内 久(森づくり部会員)
1)樹木観察
茅野市吉田山に自生する樹木の観察・識別方法の基礎
樹木例:ウリカエデ、ウリハダカエデ、アブラチャン、ヤマザクラ、カマツカとワタゲカ
マツカ、ヤシャブシ
識別:葉の形態 (対生と互生、鋸歯、裂状、複葉)
森の見方 植林による森、間伐と除伐の意味、下草と保水力
2)除伐・間伐の基本技術
受け口と追い口、「つる」を残す
感想等
・講習の現場は暗く、草も生えてなく健全な森とはいえなかった。草がないと保水能力が
落ち土砂流れ防止能力も劣る。
・間伐、除伐の必要性が良く解った。ボード(図)や実際の切り口を見せながらの説明で
つる残しが無い時の危険をメンバー皆納得した。
・林業における山の育て方と里山や自然公園的な森の管理とでは手法が違うことを教わり
整備する対象の目的を考える必要があることを認識した。
第 2 回森林整備作業[8月1日(日) 森づくり部会]
会場および時間 吉田山 市民の森 8:30〜16:00
参加者人数 14 名
事業内容
除伐・間伐の基本技術と森づくり実践作業
講師:藤本 智、河内 久(森づくり部会員)
1)初心者班
(午前)伐木の基本技術(第1回目と同一内容)(午後)間伐作業 @作業エリアの観察と
選木 A間伐
2)経験者班 (第1回目 参加者以上)
(午前・午後)除伐・間伐の基本技術と森づくり実践作業、選木と間伐、造材(枝払い・
玉切り)
感想等
・少しずつではあっても、森が整備される過程の成果を見てやり甲斐を感じた。
・昼休みの時間を利用してチェーンソーの手入れを教わり、有益であった。
・枝や蔓の絡み合いがあると倒しにくい。その際、追い口を入れすぎると倒れる方向がズ
レてしまうこと、「つる」を残すことの重要性を実感した。
・作業班内に経験や技術が異なるメンバーが混ざる中、コミュニケーションや安全管理な
ど、課題があるので検討・改善を望む。
第 2 回学習会[9月4日(土) 学習部会]
会場および時間 茅野市公民館 視聴覚室 14:00〜16:00
参加者人数 25 名
事業内容
講演会 演題:世界の森林、日本の森林 −その現状と展望−
講師:元王子製紙株式会社執行役員・元王子木材工業株式会社社長 川村 時郎 氏
[講演の概要]
森林の減少と地球温暖化現象(CO2 増加)とは直接関係ないと考えている。
世界の森林面積の実態は、1990 年から 10 年で特に大きいアフリカ大陸(5263 万 ha)0.8 %
減、南米大陸(3711 万 ha)0.4 % 減である。原因は、アフリカは気候の変化・砂漠化・焼
畑、南米は気候・農業開発、アジアは焼畑・農業開発による影響で森林が減少している現
状である。
産業用材の生産国は米国・カナダ・ロシア・ブラジルである。主な輸出国は、ロシア
(36.5 %)・米国(11 %)・ニュージーランド(7.3 %)で、輸入国は、中国(18.5 %)・日本
(13.9 %)・フィンランドとなる。特に中国の輸入量は倍増しており、日本の木材使用量は
減ってきている。
製紙会社は紙原料で木材を使うが、天然林は、択伐しており、人工林を使っている。森
林は温暖化防止、製材(家・家具)、保安林・ダム機能、土砂流失、砂防林等の役割がある。
地元の木で家を建てよう。若干高いが、使わないのは、宝の持ち腐れである。間伐・選伐
が進まずに、山の立ち腐れになっている。モヤシばかりの林、荒れ放題の山があり、150 万
ha 対象の補助金制度があるが、4・5・6 年級人工林は 150 万 ha、全体で 500 万 ha の間伐が
遅れている状況である。
感想等
・世界/日本の森林面積、産業用材実態、日本の産地別木材供給量、森林資源の現況等のデ
ータからの現状の実態のお話で、マクロ的に理解でき、参考になった。
・茅野市の山林に、森林植物園・森林公園を創りたいとの要望のお話があり、これからの
会の活動にも参考となるものがあった
第 3 回森林整備作業[9月5日(日) 森づくり部会]
(雨天のため中止となりました)
予定事業
広葉樹の間伐・道具の手入れ −森づくり実技講習−
第 2 回森林観察会[9月12日(日) 森林観察部会]
会場 小県郡真田町菅平自然体験の森他
参加者人数 21 名(会員 12 名、一般 9 名)
事業内容
森林文化の会の会員及び一般参加者による森林や自然観察を菅平にて、「やまぼうし自然
学校」の講師により行った。
感想等
・観察地周辺に空き缶やごみなどが散乱しておらず、大変綺麗で良い環境であった。
・昼食時の青竹クーヘン、汁もの作りは皆さんに好評で、天候にも恵まれよい観察会が出
来た。
森づくりと森と親しむ会[10月3日(土)、4日(日) 幹事会]
会場 鏡湖会館
参加者人数 22 名
事業内容
会員相互の親睦を計るため、西山鏡湖会館で一泊の事業として計画。
四区林野組合の山林をお借りして、きのこの採取、樹木の観察、伐採作業、クラフト、夜
はビデオによる森林、林業の学習などを計画
感想等
・朝からの計画であったが、雨天となったため午後からとなり、野外での作業は中止。屋
内でチェーンソーの取扱いの学習と、地方事務所林務課借用ビデオでの視聴学習を行った。
・会員相互交流の宴席は大いに盛り上がり、親睦を深めることができた。22 名の参加があ
り、雨天で野外での事業は中止となってしまったことは残念であったが、それなりの成果
はあったように思われる。今後も継続していきたい事業と考える。
炭焼き講習会(茅野市との共催)[11月7日(日) 森づくり部会]
会場および時間 吉田山 市民の森 8:30〜15:00
参加者人数 40 名(会員 14 名、一般 26 名)
事業内容
講師:諏訪地方事務所 大矢 信次郎 氏
(炭焼き)指導:諏訪地方事務所林務課
ドラム缶窯からの取り出し、講義、窯入れ
(燻製作り)指導:茅野市林務係
ししゃも、チーズ
感想等
・資料と講師の説明は解かり易い内容で良く理解できた。煙の温度管理や材の出し入れな
ど実際的な体験ができて良かった。
・燻製作りは、チップを購入すれば家庭でも実現できると思った。味覚も楽しむことがで
きた。
・花炭を体験し、植物の造形に炭の美しさが加わり、感動的だった。
第 4 回森林整備作業[12月4日(土) 森づくり部会]
会場および時間 吉田山 市民の森 8:30〜15:00
参加者人数 14 名
事業内容
@広葉樹の除伐・間伐の実習
おもにコナラ、その他はクリ、サクラ
A造材(ほだ木作り)
造材(約 90 cm)、運搬
二班に別れて作業を行い、ほだ木約 300 本を確保、きのこ菌打ち講習会用に保管した。
感想等
・二班に分かれて作業したが、さらに班を二つに分けた。役割を分担交代しながらの作業
は円滑に進み、部会員どうしのコミュニケーションや協力の楽しさを感じることができた。
第 3 回学習会[平成17年1月22日(土) 学習部会]
会場および時間 茅野市公民館 視聴覚室 13:00〜15:30
参加者人数 29 名
事業内容
技術専門員 柴田 昌志 氏
技師 橋渡 博之 氏
[講演の概要]
全国に先駆けて森林づくり条例を作り、a) 県民の主体的参加 b) 県内外の理解と協力 c)
森林の整備と保全の確保 d) 県産材の利用促進 e) 林業木材産業等の持続・健全な発展 f)
森林空間の多面的な利用促進 g) 山林地域の活性化 等県の基本的な施策を盛り込んだ森づ
くりの指針について詳細な説明がされた。
森林を循環林・保全林・自然推移林の三区分に分類して進め、針葉樹・広葉樹の混交す
る多様な森林にしていく。県として、森林整備保全重点地域制度の創設(500 ha〜3000 ha)、
里山整備利用地域制度の創設を取り組んでいる。
平成森興しとして、人興し・森興し・木興し・村興しの 4 興し運動を進める。
県産材の利用で、カラマツ材の間伐材を建材利用等に向けて乾燥技術・脱脂技術・修正
合せ張り等の取り組み研究をしている。県産材として乾燥・強度試験・含水率の調査と認
証材として第三者の認証センターを通して普及するようにしている。
木質バイオマスを上伊那森林組合にて年間 500 t ベースでペレットを作っており、信州版
ペレットストーブ・ボイラーの製作に入っている。
感想等
・農業と林業の融合できる形で取り組みがもっと考えられないか(有機農業への活用等)、各
地の事例を含めて質問・意見交換があった。
・市民の森創造委員会を通した取り組みで森林整備と県の森林づくり条例に関係した施策
との質問・意見交換がなされた。
・カラマツ材利用で学校施設の取り組みに関しての予算・効率・メリット・課題等の質問
及び意見交換がなされた。
第 4 回学習会[平成17年2月26日(土) 学習部会]
会場および時間 茅野市公民館 生きがいサロン 13:30〜15:30
参加者人数 20 名
事業内容
県出前講座 演題:森林バイオマスの利用について
講師:長野県林務部林務参与兼信州の木利用推進課長 河合 博 氏
主任企画員 前島 啓伸 氏
主査 小林 聖一 氏
[講演の概要]
間伐材は、45 年前後のものが多く、材木として 80 % 近くが山に捨てられている。資源
活用目的でバイオマスエネルギーに使用できないか取り組みをしている。
信州型ペレットストーブ・ボイラーを予算化して試作・開発している。業務用ペレット
ストーブ 20 万円以上、家庭用タイプで 20 万円の目標で製品化を進めている。ペレットは、
上伊那・下伊那の製造工場で作っている。1000 t が採算ラインになっている。オーストリ
アでは、ペレットも普及しており、原木も安く灯油よりも安価な市場になっている。
木質バイオマスのガス化の発電で、1 ヶ所 2000 t の使用を考えており、現在 10 ヶ所の設
置場所を決定している。
建築廃材を一般材として、長野県では 40 数%リサイクルできる。平成 22 年にはチップ化
し燃料利用も見込んで 95 % リサイクル化を図る。
バイオマス発電・小水力の利用で、各市町村にて地域新エネルギービジョンで取り組み
をしている。
感想等
・薪ストーブとペレットストーブの違い、ペレットストーブのメリット、問題点について
細かい内容まで質問や意見交換がされて理解を深める機会となった。ストーブ本体価格の
高さやペレットの供給不安等での質疑がなされた。
・木質バイオマス利用の県の説明を聞いてみると、まだまだ開発研究する分野や余地が多
くあり、これからの大きな課題であると感じた。
きのこの菌打ち講習会(茅野市との共催)[平成17年3月12日(土) 森づくり部会]
会場および時間 運動公園第二駐車場 9:00〜11:00
参加者人数 62 名(会員 23 名、一般 39 名)
事業内容
挨拶:茅野市農林課長 田中 久充 氏、八ヶ岳森林文化の会長 野澤 仁三郎
指導・進行:林務係長 長田 時男 氏 他
体験談の紹介:森づくり部会副部会長 河内 久
(1)講義:きのこの知識、育て方(資料配布)
講師:伊藤 栄治(会員)
(2)菌打ち実習
くりたけ:一人当たり カラマツ 1 本、コナラ 2 本
(会員と一般参加者混合で、5つの島で実施)
感想等
・日本の森の現状を解説し、長野県の場合カラマツの人工林の手入れが遅れている実情の
中で、間伐材の有効活用という観点で原木の一本はカラマツにして参加者に意識していた
だくような工夫をし効果があったと思われる。
・前日の市との合同準備や当日の準備と後片付けなど会員の積極的な協力が得られ良かっ
た。
2022.2.24