「しなのがま」炭焼き研修会
〜間伐ナラ材で炭焼き体験〜
[森づくり部会]
日程: 6月8日(金)〜6月17日(日)
場所: 市民の森 しなのがま
参加者: 20名(一般参加9名)
一般の方々へ炭焼きというものを広く知っていただくこと、ならびに市民の森の間伐材の有効利用・炭焼き技術の向上を目的に、
森づくり部会主催の炭焼き研修会を開催しました。
6/8(金)に炭材の積込み火入れを行い、3日間にわたり燃焼、6/1(日)予定通り窯止め。
順調に炭化が進み、6/16(日)には、無事窯開きをすることができ、高品質の炭が作製できました。
今回は一般参加の方が9名と、近頃まれにみる人気でした。
自ら希望された皆さんだけあって、様々なことに興味を示され、作業にも熱心に取り組んでいただきました。
豚汁のふるまいもあり、自然の中の食事や作業の合間の語らいは格別のものでした。
今回の成績は、炭材投入量 880kg に対し、産出した炭 151kg (製炭率17%) でした。
6月8日(金)午前9時 集合
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これより、あしかけ10日間にわたる炭焼き作業が始まります。
まずは講師より、炭焼きのメカニズムに関すること、今後の作業の予定や手順について説明がありました。
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● 炭材の計量
炭材は市民の森で間伐したコナラです。
材は90cmの長さに切り揃えておき、窯に積み込む前に重さを計量します。
昔ながらの天秤ばかりを使っています。
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● 炭材の積込み
窯の床に小枝を敷きつめた後、炭材を一本一本隙間なく立てかけていき、窯の内部を炭材で充填します。
天井や材が傾くことによって生じる隙間には、短めの木端を詰め込んで埋めていきます。
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● 窯の密閉
材の搬入口は熱が漏れないように、耐火煉瓦と赤土を使って完全に密封します。
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● 火入れ・燃焼
午前11時 火入れ
撚材は、コナラほど長持ちしませんが、火力が強くて大量にあるカラマツを使います。
コナラは勿体ないので、夜間に燃焼を中断するとき、熾火として使うようにします。
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ありがたいことに、今回も多くの地元マスコミの取材を受けました。火入れの瞬間を捉えようとするカメラの放列です。
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● ランチタイム
豚汁名人手作りの豚汁に舌鼓をうちながら、日陰で心地よいランチタイムとなりました。
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3日間燃焼を続けます
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参加者が交代で火の番となり、焚口に薪をくべて焚き続けます。
夜間は燃焼を中断しますが、焚口に薪(コナラ)を大量に投入し閉じておくと熾火となり温度は維持されます。
ブルーシートの屋根をつくり、雨対策も万全です。
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6月10日(日)午後3時 窯止め
● 精錬
燃焼3日目、煙突口の温度は200℃に達し、順調に炭化が進んでいます。
煙の色が透明に近い青白色に変わってきたら最後の仕上げ精錬を行います。
精錬とは、煙突、焚口、精錬口(※)を全開し空気を送り込み、炭化を一気に進めることです。
これを行うことで、木炭から不純物(ガス)を取り除き、高品質の炭となります。
※精錬口 = 焚口の両側にある直径5cmほどの穴。通常は閉じておく。
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● 燃焼口・煙突の封鎖
焚口や煙突の開口部に赤土を盛って密封し、空気を遮断して消火します。
一週間かけて窯を冷まし、窯開きを待ちます。、
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一週間待ちます
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「成功を祈る!」 と、お供の犬君より励ましもありました。
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6月17日(日)午前9時 窯開き
● 窯開き
炭材の搬入口を崩し、鉄の蓋を開ける緊張の一瞬です。皆が固唾を飲んで見守る中...
立派な炭が出来上がっていました!
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出来上がった炭を手渡しで運び出します。積込みのときと同様、重さを計量し、製炭量・製炭率を割り出します。
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最後に手分けして炭を袋詰めします。参加者一人当たり炭 5kg、木酢液2〜4リットルを無事お配りすることができました。
砕けてかけらになったところも集めて畑に撒いたりするので無駄はありません。
今回の成績は、炭材投入量 880kg に対し、産出した炭 151kg (製炭率17%) で、
上々の出来だったと思います。「しなのがま」も4年目に入り随分安定してきた感じがします。
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● 温度の計測
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<< 煙道温度測定値
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現代の炭焼きでは、火力や空気の流量の調整、精錬・窯止めのタイミングは、温度をみて判断します。
煙突口にデジタル温度計をセットし、1時間ごとに煙道温度を計測します。
窯の内部温度と対応するので、これを指標に作業を進めます。(温度計のなかった昔は、煙の色や匂いだけで判断しました。)
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一般参加 高遠町 原科勝人
炭焼き体験感想
今回はじめて参加させていただきました。高遠に住んでいる原科です。
5月21日に金環蝕を観たくて原村の自然文化園に行った時、そこのレストハウスで案内書を見て面白そうだと思い申し込みました。
高遠の家では60坪位の菜園を作っています。毎年庭木の剪定枝がけっこう出るので、いつも庭に穴を掘って焼き、その途中で
土を被せ、むし焼き状態にして、白い煙が青っぽくなってきたら通気孔をせばめて、頃合いをみて完全に密閉し、2〜3日して
掘り出し炭化したものを畑にばらまいて、春先に耕転、鋤きこんでいます。土壌改良に良いと本に書いてあったので、毎年続けて14年目になります。
そんな訳で炭焼きとは本来どのようなものなのか。大変興味をもっていたので、最高のチャンスと思い喜んで参加した次第です。
今回は会員以外の人がいつもより多く参加していたとのことですが、皆さんが楽しそうにされていたのがとても印象的でした。
特に女性の方たちが積極的に力仕事に汗を流されていたのに感心しました。
私は現役時代に道路維持作業の現場で働いていましたので、スコップ作業などにはなれており、久しぶりに良い汗を流すことができて気持ち良かったです。
空気の良い山の中での作業なのでなおさらでした。
20代からスキー、30代から渓流釣り、50代から畑作りと鮎釣と一人暮らしということもあって、好き勝手をしています。今回もその延長です。
作業の合間の雑談で、指導して下さった定成さんが、以前炭焼きの臭いを身体にプンプンさせたまま、木酢液入れの空ペットボトルをスーパーの回収ボックスで探していて、
不審者(ホームレス?)に間違われ、他の買い物客に遠巻き状態にされたというお話を聞き、皆で大笑いしました。
とても個性的で親しみ易い参加者の皆さんと共に、木酢の臭いが、とても良い体験と思い出となりました。ありがとうございました。