H29年度 事業計画・報告

今、森林整備事業部は(H29年度)


この「今、森林整備事業部は」というタイトルで、事務局だより毎号に連載しています。


2017.3.25


 4月15日から始まる森林整備作業を前に、3月25日(土)森林整備事業部会議が「ゆいわーく茅野」3F集会室で行われました。
 本年度前期部員数は36名。本日参加者は25名。役員体制は部長に山本さん、副部長は鶴田さんに代わり狭川さんです。

 今年度は森林経営5か年計画の最終年になりますが、補助金の形態が「森林環境保全直接支援事業」から「環境林整備事業」に移行します。それに伴い、施業方法も変わります。
 これまでは10m/ha以上の搬出が必要でしたが、今後は搬出義務がなくなり、伐倒+玉切りのみの作業になります。(いわゆる切り捨て間伐)  市民の森は「茅野市森林整備計画」において、『保健文化機能の維持増進』を図る森林に指定されていますので、市民が心地よく安全に楽しめる森でなくてはいけません。そのため切り捨て間伐とはいえ、美観や安全保持のため、ある程度の搬出も行います。
 上記の他、森林整備事業部のルールや施業方法の説明と昨年狭川さんが経験した危険作業4例の紹介があり、注意・禁止事項の確認をしました。
   ○尾根方向への伐倒 ○複数人の斜面上下での作業
 ○1本の木の枝払いは複数人で行わない
 ○バックフォーは伐倒に使用しない
 ○伐倒時枯れ枝などの落下物を事前に確認する
 ○伐倒前には逃げ道を確保しておく
 ○必ず退避すること
 ○伐倒時目視だけではなく笛で周囲に知らせる
 ○掛り木などトラブルの処理は複数人で行う 等
いずれも基本的注意・禁止事項ではあるが、慣れるに従いつい忘れてしまいがちな事柄ばかりでした。

 また、重機の適正な使用方法についても様々な意見が交わされました。
 今年度の間伐エリアは急峻で、近くには土砂崩れが起きた箇所もあります。作業は細心の注意を払い行いたいものです。

H28年間伐域
事業部会議


2017.4.16


 横河口山の神にて恒例の安全祈願の後、昨年度間伐地及び今年度作業範囲の確認をおこないました。 今年度作業地は②③の様に雑然とした森林で④の崩壊地や急傾斜など危険個所がほとんど。今日はみんなで現地確認をすることにより、訪れる人や環境に配慮し、搬出要件はないが、昨年の間伐地①のようにすっきり美しく且つ安全な森林にしたいと事業部員一同思いを一にしました。

横河口山の神 森林整備作業の無事を祈念
鳥居も新たな横河口山の神 心新たに森林整備作業の無事を祈念
カラマツ間伐地 今年の間伐地
①スッキリとした空間 昨年のカラマツ間伐地 ②蔓や枯損木、雑然としている今年の間伐地
道なき道を行く 崩落地
③倒木のなか、道なき道を行くメンバー ④かつての崩落地、下方には堰堤あり


2017.4.22

 本日は今年度作業初日でしたが、昨年度の間伐範囲の整理を行いました。
 そして、加藤(賢司)さん・曽我さんが先輩事業部員によるマンツーマン指導で無事現場デビューを果たしました。⑤
 森林整備作業は心身ともに大変な活動です。そこで今年は、作業中の発見や喜び、そしてヒヤリとしたことなども紹介していきたいと思います。

『今日のヒヤリハット』
 矢崎は作業開始まもなく、チェーンソー(MS201C)に異常を感じ、見るとガイドバーが外れて飛んでいた。幸いガイドバーに歪みは無かったが、 ソーチェーンにバリができ、そのままの使用は不能。チェーンが外れることはあっても、ガイドバーが外れるとは前代未聞。 人に当たれば大事故になりかねない。
 皆さんも、チェーンソーを掃除した後はカバーの装着やネジのゆるみに十分気を付けましょう。

H28年間伐域 H28年間伐域
⑤先輩部員によるマンツーマン指導  カバー ソーチェーン ガイドバー
リスの食卓

2017.5.15

 5月15日に無事協定の市の認可が下り、やっと本年度森林整備区域の作業ができるようになりました。
せせらぎロード沿いはカラマツ、クルミ、ミズキ、ヤナギなどの高木の間に背丈ほどのアブラチャンなどが生い茂り、周囲の状況が見づらく、 伐倒時には笛による確認だけではなく、目視や声による更なる確認が必要。

まばらな高木の間に灌木が生い茂る作業地

まばらな高木の間に灌木が生い茂る作業地

 特にこの時期、山菜採りの住民が山に入っているので、充分に気を付けたい。
 また、初めての環境林施業となり、崩壊地などを含む特異な地形や植生の区域をどのように間伐していけばよいのか非常に難しいと感じた。



2017.5.24

『今日の発見』
 横河口四阿近くに大きな穴があり、底には岩をくりぬいたような横穴が続いている。
「こ、これは縄文人の墓ではないのか!?」
期待が膨らみ下へ降りると、水の流れる音が聞こえる。伏流水だ。音を追っていくと石の間から水が湧きだし小川となり、 また地中に潜り伏流水となる、を繰り返し湿地帯へ続いていた。昨年のガレ場の下も水音がしていたので、 この地域一帯は地表近くに地下水が多く流れていることが分かる。
 これも災害が起こりやすい要因の一つなのではないだろうか。

縄文人の墓?地下から水の音 矢印 所々、地上に水が湧く 矢印 小川になる 矢印 湿地
縄文人の墓?
地下から水の音
所々、地上に水が湧く 小川になる 湿地

『今月のヒヤリハット』 中野進さんの報告

 午後の作業はじめ、スターターを100回近く引いてもエンジンがかからなかった。
 これはフルスロットルでエンジンをかけ続けた後すぐにエンジンを止めると、 燃料が気化し気泡が発生するパーコレーションという現象が起きパイプがつまり燃料が送り込まれなくなったのではということで、 暑いときはすぐにエンジンを止めないで暫くアイドリング状態で冷やすのがいいそうです。
 暑さにやられたのは僕だけでなく、チェーンソーまでダウンしたようです。初作業日のトラブルでしたが、 実際の作業を含め良い勉強になりました。


2017.6.21

今月のヒヤリハット①

 今月の作業は寒暖の差が激しい気候と、見通しが悪く危険な下層木に悩まされています。
 高温多湿な環境下での作業は体内の水分・塩分のバランスが崩れ、特に急に暑くなった日は熱中症のリスクが高まるそうです。
 初めて現場デビューした小澤さんは持参した水分を午前中で飲み果たしてしまったとか、これは大変危険です。一歩間違えば命とりでした。
 休憩まで待たずに、①こまめな水分・塩分の補給。②通気性の良い吸湿・速乾性の衣服着用。③保冷剤や冷たいタオルの活用など、 熱中症予防を森林整備の作業のみならず、他の事業でも同様に心がけましょう。



今月のヒヤリハット②

 今、横河口駐車場脇にはキイチゴの実がたわわに実っています。疲れた喉にこの甘さはたまりません。 数粒食べたその時、「うぇ~、この味は・・・カ、カメムシ!」。カメムシもキイチゴが好きだったなんて、知らなかった。もう一つ勉強になったのは、 カメムシの出す悪臭成分はただ臭いだけでなく、かなりの痺れを伴います。
 くれぐれもカメムシは食さぬようご注意ください。

モミジイチゴ

モミジイチゴ


作業現場 作業現場 搬出
下層木が茂り見通しが悪く危険な間伐作業は
慎重に。
搬出義務はないが、材を無駄にしないよう
引き出せる木はなるべく搬出している。

2017.8.23

 8月6日、緊急の全体会議を行いました。この日約25名の出席があり、2件の事故に関する検証と対策、安全伐倒技術の学習を行い、安全作業を徹底していくことを確認しました。
 8月23日の後期作業開始初日は、1ヶ月半ぶりの作業となりました。それまで雨模様の日が続いていたにもかかわらず、この日は、朝から暑い日となり熱中症も心配されましたが、参加者5名、 その暑さにも負けず、楽しく作業ができました。この日は、大径の広葉樹の伐倒の実践学習も行い、大変有意義な日となりました。このような実践学習はこれからも随時行っていきたいと考えています。
 なお、9月7日(木)には、「林災防」長野県支部の労働災害防止に関する講義とその会員である緑化創造舎の方の実地指導を予定しています(場所未定)。事業部の皆様には、できる限りの参加をお願いします。


2017.9.25

 9月7日、県諏訪地域振興局の主催により、林災防(林業・木材製造業労働災害防止協会)と㈱緑化創造舎及び 当会の三者共同開催という形で、広葉樹の安全伐倒技術講習会が開かれました(横河口駐車場)。
 安全伐倒技術の講習(林災防)では、この10年間で起きた林業従事者の死亡事故が全国で約450人、林業従事者が少ない割に 死亡事故が多いという統計の紹介があり、改めて危険な作業に従事していることを認識しました。 そのほか、伐倒中の事故事例の紹介や広葉樹の安全な伐倒技術についてもわかり易い解説があり、大変勉強になりました。
 また、伐倒実地講習(緑化創造舎野口代表)では、夏場の広葉樹は水を吸って頂部が重たくなっていて裂け易いので、 裂けることを前提に伐倒すべきなどの講釈のあと、根元直径50cmほどのコナラを「追いづる切り」で伐倒しました。 この方法での伐倒経験のない参加者も多く、大変参考になりました。
 この日は雨模様でもあり、当会から12、3名という少ない参加ではありましたが、大変有意義な講習会であったとの感想でした。 今後、参加できなかった会員にも本講習会で習得した知識・技術を伝え、さらに、安全意識の高揚を図っていくことを確認しました。

安全伐倒技術講習会 安全伐倒技術講習会
   
受け口切り 追い口切り(突っ込み切り) 追いづる切り 追いづるが切り離された瞬間
受け口切り 追い口切り
(突っ込み切り)
追いづる切り 追いづるが
切り離された瞬間

2017.10.25


 今年度の間伐作業は大詰めを迎えています。今年度は協定発効の遅れや雨天続きのため目標には達しませんが、何とか切りの良いところまで完了したいと天気を気にしています。
 今年度の作業範囲は横河口方面を整備しました。写真は、横河口駐車場から東コースに入る入口付近から南方向に向かって、施工前、施工中、施工後に撮影したものです。

施工前 施工中 施工後
施工前 施工中 施工後

 平行して進めていた集材作業も終了し、先日、業者により搬出を完了しました。
 また、9月には植林地の整備作業を行いきれいに完了しました。写真は、整備前、整備後のものです。

施工前 施工後
施工前 施工後

作業地で横穴発見!
施工前


入口幅1.5m位、中の高さ、奥行き共に1.5m位。
人が一人二人入れ、上を歩くこともできます。
何だったのでしょう?
分かる方はお教え下さい。


2017.11.22


 今年度は、環境林整備事業協定(施業実施協定も同時締結)に基づいて間伐を実施してきましたが、協定発効の遅れや雨天中止による作業の遅れが響き、目標の8haを達成することができませんでした(実測図のとおり)。
 来年度は、今年度の予定範囲の残り部分と崩壊地跡の先までということになります(青線の範囲)。今年度よりも急傾斜地が多く、難航が予想されますが、目標(8ha)達成のため、事業部員の皆様のご協力をお願い致します。

≪H29年度範囲地図≫ ≪H29年度森林整備地測量図≫
H29年度範囲地 H29年度森林整備地測量図

2017.12.11


   

 12月11日に実施された諏訪地域振興局による検査の現場に立ち会わせて頂きましたので、報告します。

①作業道の検証道幅、長さを確認

②提出測量図の数値の確認

① ②


③当会設定のプロットでの確認

(提出「調査表」の数値確認)
・残立木の胸高、根元直径
・伐採木の根元直径
・伐採木の樹齢
・伐採比率

③


④対象エリアの踏査確認

・「間伐」状況の確認
・「玉切り」の状況確認 長さ、接地状況
(環境林整備事業の「玉切り」は材を地面に接地させ、早く土に返すための玉切り)

④

 

右の伐採木は「長すぎ、地面に接地していない。」という注意を受けました。

③


⑤2か所目のプロット設定


確認事項は同じ

⑤ ⑤


⑥書面審査

⑥

2018.1.22


 昨年度は、環境林整備事業を導入し実施してきましたが、その施業方法について不明な点等があり、部員間において未だ共通認識が得られていないと思われます。
 そこで、茅野市森林整備計画の森林施業の基本方針と環境林整備事業の施業方法についてまとめました(「森林整備事業部の活動の目的と施業方法」)ので、今後の作業の参考にしていただきたいと思います。
(このことについては、3月の事業部全体会議の際に説明いたします。)
森林整備事業部としては、「市民の森」の、同整備計画の「目指すべき森林」の特に、「保険・レクリェーション機能の維持増進を図る森林」を目指しながら、「環境林整備事業」による補助金交付対象となる施業をすることになります。部員の皆様のご協力をお願いいたします。

森林整備事業部の活動の目的と施業方法 は こちら(163KB)

私たちは、このような活動を通じて人と森林との新たな関係を作り出し、豊かな森林を次世代にバトンタッチしたいと願っています。