今、市民の森は!  (H24年度)


  このタイトルで、事務局だより毎号に連載しています。


2012.4.20 

 今、市民の森はアブラチャンの花盛り。頂上へ向かう散策路の両側のブッシュはアブラチャンの黄色い花で埋まります。とても似ているダンコウバイの花より、少し遅れて咲き始めます。
花の時期に2種を区別するのはなかなか難しい。しかし、葉が出れば一目瞭然です。

アブラチャン

アブラチャン(油瀝青)
クスノキ科 クロモジ属


2012.5.13 

 5月半ば、山肌をピンクに染めたカスミザクラも風が吹く度に花びらが舞い、サクラの季節ももうすぐ終わります。 これからは、次々と木々の花、草の花が楽しめます。
 市民の森で3月1日に発行されたガイドブック「市民の森に集う」を片手に散策される方も見かけるようになりました。有効に活用されている様子、とてもうれしくなり、ついつい声をかけたくなります。こうして、市民の森を楽しむ人の輪が広がるといいですね。

カスミザクラ

カスミザクラ(霞桜)
バラ科 サクラ属


2012.6.13 

 市民の森はウツギが見頃です。ほとんどの散策路脇にはウツギが自生し、どこでも真っ白な花が次々に咲き、散策者の目を楽しませてくれます。

ウツギ

 そしてウツギの花には、この花を好むらしいウスバシロチョウが吸蜜に訪れます。
 緑いっぱいの市民の森で、今しばらくは、この白い花が楽しめます。

 ウツギ(空木) (ユキノシタ科 ウツギ属)

2012.6.6 

 月例観察会の下見で、エゾエノキの葉の上に保護色の緑の幼虫を見つけました。帰って調べてみると、ゴマダラチョウかオオムラサキの幼虫。背中の突起の数から、これはオオムラサキの幼虫のようです。

オオムラサキの幼虫

 エゾエノキの根元で越冬した幼虫は今エゾエノキの葉をモリモリ食べて7月には羽化して舞います。
 7月をお楽しみに。


2012.7.6 

 市民の森全体を彩る白いウツギの花も終わり、薄紫に煙るコアジサイの花も終わり、今は、サワギクがあちこちを黄色に染めています。

ウメガサソウ

 その中で、ひっそりと咲いている小さなウメガサソウを見つけました。 イチヤクソウ科の多年草で、乾燥気味の林内が好みとのことです。高さが10cmほどの植物ですから、広い市民の森で見つけたらラッキーです。

 ウメガサソウ(梅笠草)
 (イチヤクソウ科 ウメガサソウ属)


2012.8.17 

 市民の森の中央コースの路面にグランドカバーのように広がっているセイヨウウツボグサが、今、ウツボグサより小ぶりな花を咲かせています。 ヨーロッパや北米に自生し、花壇に適したハーブとして輸入され、暑さ、寒さにも強く丈夫なのでグラウンドカバーなどにも利用されるそうです。

セイヨウウツボグサ

 市民の森に現れた経緯は知る由もありませんが、オオバコのように、踏まれても、踏まれても広がり次々に花を咲かせ、長い間楽しませてくれます。
  セイヨウウツボグサ(西洋靫草)
  (シソ科 ウツボグサ属)


2012.9.11 

 市民の森では、ユウガギク、アケボノソウなど、秋の花が咲き始めました。そして、ツルニンジンも日当たりの良い所で、灌木に蔓を絡ませ、立派な花を沢山をぶら下げています。  根がチョウセンニンジンに似ていることからこの名がついたと言われています。 また、花の模様を爺さんのそばかすと見立てて、ジイソブ(爺蕎)という別名がついています。

ツルニンジン

紙風船を膨らましたような蕾がポンと開くところを観察してみたいものです。
  ツルニンジン(蔓人参)
  (キキョウ科 ツルニンジン属)


2012.10.16 

ツルニンジン

 市民の森の頂上広場の藪の中で、ひっそりとリンドウが咲いています。膝くらいある藪の中ですから目立ちませんが、探せば、「ここにも!」「あそこにも!」とたくさん咲いています。青の濃い花、薄い花、花が1輪の株、数輪つける株、いろいろです。

 この時期にならないとリンドウの存在にも気づきませんが、毎年決まってこの時期に広場を彩ってくれる貴重な花です。そして、リンドウは茅野市の「市の花」でもあります。
  リンドウ(竜胆) (リンドウ科 リンドウ属)


2012.11.13 

ツルリンドウ

 諏訪教育会発行の「諏訪の植物」の表紙写真でお馴染みのツルリンドウの実が大分大きくなりました。
 ガマズミ、カンボク、ナナカマドなど赤い実はたくさんありますが、この実の色は独特で、少し紫がかった赤紫色と表現されます。

 冬枯れの山で、雪景色の山で、この実を見つけると嬉しくなります。市民の森でこの花の開花の写真は撮れていません。来年は是非、ツルリンドウの開花の写真を撮り紹介したいものです。
  ツルリンドウ(蔓竜胆) (リンドウ科 ツルリンドウ属)


2012.12.14 

四阿

冬芽

 市民の森は11月15日から狩猟期間に入り、3月31日まで閉山になります。暖かい一日、冬の観察に入りました。
 木々の葉は落ち、見通しが良くなった森は、見えなかったものが見えてきて、景色も別世界です。雪面には、動物の足跡、飛び立った鳥の羽の跡、種のいっぱい入った糞。足跡もサクサクと歩いた気配、立ち止まった気配、これまたシャーロックホームズのように推理してみるのも楽しいものです。
 葉を落とした木の枝には、もう来年の準備ができています。会の活動がない冬の季節は、ご自分の家の周りでの冬芽の観察がお勧めです。

2012.4.28