今、市民の森は!  (H25年度)


  このタイトルで、事務局だより毎号に連載しています。


2013.4.20 

 今年は雪が多かったので、春は遅いと思っていましたが、全然違います。ダンコウバイ、アブラチャン、フサザクラ、キブシなど例年より2週間ほど早く咲きました。
 スミレの季節は5月と思っていましたが、今年は4月です。ヒナスミレ、タチツボスミレ、アケボノスミレ、アカネスミレと次々に咲いています。スミレは小さな花ですから、注意しないと、足元に咲いていても気づきません。キノコ狩りと同じです。

タチツボスミレ

 さあ、目をキノコ・モード、いや、スミレ・モードにして、散策しましょう。

タチツボスミレ(立坪菫) スミレ科 スミレ属


2013.7.18 

 月例観察会で蕾を見た2日後、ミドリヒメザゼンソウが咲いていました。花は1円玉ぐらいの大きさです。
 毎年、ウバユリに似ているが少し違う葉を沢山見ていたのですが、そのうちに葉が融けてなくなって行方知れずとなり、ずっと、同定出来ずにいました。
 昨年、その株に印を付け観察を続けた結果、ようやくミドリヒメザゼンソウということが分かりました。昨年の株は、花が咲いた後に、イノシシに掘り返されてしまい残念がっていましたが、今年も、別な所で花を見ることが出来ました。

ミドリヒメザゼンソウ

 人間が見ていないところでも、自然はちゃんと営まれているのです。

ミドリヒメザゼンソウ(緑姫座禅草)
 サトイモ科 ザゼンソウ属


2013.8.20 

 クサギは、葉に触れただけで臭いので、余り注目していない植物です。しかし、この季節だけは、鮮やかなピンク色の蕾、そこからスーと伸びた真っ白な花に、長い睫、いや、雄しべを伸ばしたなかなか美しい花を付けます。今年は、当たり年か?、それとも樹齢のせいか、今までになく、豪勢に花を付けました。  植物図鑑には「芳香があり、蛾、アゲハが訪れる」とあります。

クサギ

秋には、萼が赤い星型にさけ、そこに濃紫色の丸い実が、あたかも天然のブローチのように輝きます。今年の秋の楽しみの一つになりそうです。
クサギ(臭木) クマツヅラ科 クサギ属


2013.9.12 

 今、市民の森は実りの秋。ウワミズザクラ、サワフタギ、アオハダ、ガマズミ、カラコギカエデ、それぞれの個性的な色、形の実が、次々と森を彩っています。今年は、特に実付きが良く、我々が観察を始めてから一番の豊作ではないでしょうか。
 美しい瑠璃色の実を付けているのはサワフタギ。

サワフタギ

サワフタギは樹形が沢に蓋をするようにテーブル状に枝を張ることから命名されたそうです。別名はルリミノウシコロシ。材が固いことから牛の鼻輪に使われたこと、実に毒があること、別名の由来は諸説あるようです。
サワフタギ(沢蓋木) ハイノキ科 ハイノキ属


2013.10.11 

 今、市民の森でセンブリの花が咲きだしました。市民の森 ガイドブック「市民の森に集う」でも、「池の畔で、センブリの花が咲いたら花の季節も終わりです。」と紹介しました。センブリの名前の由来は「千回振出してもまだ苦い」ということからつけられ、非常に苦味が強く、ドクダミやゲンノショウコと共に有名な薬草です。

センブリ

昨年までは、池の畔一カ所での観察でしたが、今年は、池の畔の株数も増えましたし、観察地点も増えています。花は小さく目立ちませんが、見つけたら花弁をよーく見てください。少しピンクがかり、縞模様がついています。何のためにこんな装飾がついているのでしょう。自然は不思議です。
センブリ(千振) リンドウ科 センブリ属


2013.11.1 

 冬枯れの市民の森の中で緑の葉を残すのは、ソヨゴです。 ソヨゴは雌雄異株なので、実が付くのは雌株のみです。 実は真っ赤で美しい色ですが、緑の厚い葉が残っているので余り目立ちません。これでは、鳥に運んで貰うには不利なのではないかと心配しますが、森の中のあちこちで幼木を見かけますから、余計な心配のようです。

ソヨゴ

諏訪教育会発行の「諏訪の植物」には、「諏訪地方ではサカキと呼び神事に使っている。」とあります。本物のサカキは寒さのため育たないこの地では貴重な樹木です。  市民の森は11月14日でクローズしました。11月15日から狩猟解禁になります。
ソヨゴ(冬青) モチノキ科 モチノキ属 常緑小高木


2013.12.9 

 12月9日、事業部の森林整備地測量に同行しました。
冬季閉鎖中の市民の森に人影は無く、鳥の声や風の音そして時折鹿の気配が静寂を際立たせていました。
 今年度の間伐地約8ha中に設定した3プロットの間伐率を算出したり、開設作業路の測量を行いました。
 今回は県林務課の確認調査でしたが、事業部で測量した数値と合致したそうで、我が会の技術も日進月歩、素晴らしいです。

測量

 余談ですが、コナラの葉裏にヤノイスアブラムシという初めて目にするアブラムシを確認。これは、イスノキとコナラを行き来するアブラムシ。イスノキは静岡以西の暖地に生える木ですから、この子達は何処から来て何処へ行くのか興味がわきます。
いずれにしても、初冬の森は静かでありながら、多くのものを語りかけてくる魅力的な場所ですね。
 注)閉鎖中の市民の森へ入るのは危険です。猟友会への連絡と目立つ服装でお願います。

2013.4.29