今、市民の森は!  (H26年度)


  このタイトルで、事務局だより毎号に連載しています。


2014.4.12 

 市民の森ガイドブックの「市民の森の四季」に記載しているように、春は、アブラチャン、ミヤマウグイスカグラ、ダンコウバイの花で始まります。そして、バッコヤナギ(ヤマネコヤナギ)、コブシと進んでいきます。 しかし、今年はバッコヤナギが早かったように思います。
 これも、2月の大雪が関係しているのだろうか?市民の森の観察を蓄積していったら、何か観天望気(自然現象や生物の行動の様子などから天気を予想すること)が導き出せるだろうか?我々の観察が、何か役立つ結論に達するだろうか?
 ま、当面は、季節の移ろいを楽しんでいきたいと思います。

ダンコウバイ

ダンコウバイ(壇香梅)
 クスノキ科 クロモジ属 落葉小高木


2014.5.7 

 ネコノメソウは沢沿いの湿った場所が好きなようです。 刮ハが二つに裂けた様子が瞳孔を閉じた猫の目のように見えるので、猫の目草の名が付いたそうです。市民の森でネコノメソウを見つけたら、是非、花を覗いてみてください。

ネコノメソウ

ネコノメソウ(猫目草)
 ユキノシタ科 ネコノメソウ属 多年草


2014.6.13 

 散策路を白く彩るウツギも満開を過ぎ、散策路も少し寂しくなります。これからは、サワギクが出番です。湿った草むらの中に、開花準備中の株が沢山ありますから、暫く楽しめそうです。花が終ると、種の綿毛がボロをまとっているようなので、ボロギクとも言われます。 ワタアメギク(棉飴菊)とか、もっとつけようがあるでしょうに。

サワギク

サワギク(沢菊) キク科 キオン属 2年草


2014.7.21 

 目立たないピンクの小さな花を今咲かせているのはムラサキシキブ。秋には紫の実を付けます。山渓カラー名鑑には「和名は果実の美しさを紫式部にたとえたものという説がある。」と記載されています。紫式部がどれほど美しい女性だったか知ることはできませんが、紫の小さな果実は、洋物の派手な実を見ている現代人にとっては、少し地味に見えるのではないだろうか。
 観察会でムラサキシキブを紹介した時、セイショウナゴン(清少納言)という植物はないのですかと聞かれたことがあります。私が調べた限りではないようですが、園芸種の品種として清少納言とつけられたショウブがあるようです。

サワギク

ムラサキシキブ(紫式部)
 クマツヅラ科(最近はシソ科になったらしい)
 ムラサキシキブ属 落葉低木


大漁!
7月6日の「子供たちの森の体験」で水生昆虫を捕えようと仕掛けた小さい四手網に魚が大量に掛っていました。ギュウギュウ詰で酸欠状態。慌てて、池に戻しました。慌てていて、種を同定するための写真が撮れませんでした。「ウグイ」という人、「ウグイではない」と言う人、色々で?

大漁


2014.8.13 

 可憐なゲンノショウコが咲きはじめました。市民の森のガイドブック秋の花の一番に掲載されています。夏の暑さが一段落すると、示し合わせたように、あっちにも、こっちにも咲きはじめます。
 可憐な花の割には「現の証拠」と似合わない名前は、この草を干して煎じて飲むとすぐに下痢止めの効果があらわれることから、この名がついたそうです。花が終って、種が弾けた後の果実は御神輿の屋根のような形となるため、ミコシグサ(神輿草)ともいわれます。
 この花をスタートに、市民の森も秋に突入します。

ゲンノショウコ

ゲンノショウコ(現の証拠)
 フウロソウ科 フウロソウ属 多年草


2014.9.14 

 バクの鼻のように突き出た上唇を持つクリーム色の花はキバナアキギリ。今、薄暗い沢の傍で群れて咲いています。
 葉は元の方が耳状に張り出した特徴のある葉で、春先の新葉は山菜として食すると山菜の本に記載されています。しかし、美味しいとは書いてありませんし、私も食べたことはありませんので、お味の程は分かりません。
 名前の由来は、黄色い花をつけキリのような花を秋に咲かせるからだそうです。

ゲンノショウコ

キバナアキギリ(黄花秋桐)
 シソ科 アキギリ属 多年草


2014.10.21 

 今年は、コブシの実の当たり年。 市民の森の駐車場脇のコブシには、「こんなに実を付けてどうする?」程に沢山の実をつけました。と言うことは、今年の春は、この木に沢山花が咲いたということですが、見逃したようです。
 コブシは、早々と作られた花芽が毛皮のコートを着て冬を越し、春、木々が葉を展開する前に真っ白な花を咲かせます。春の森には欠かせない木です。
 実はいびつでゴツゴツした集合果で、熟すと裂けて赤色の種子を白い糸で吊り下げます。この糸は種子を引っ張ると少し伸びます。何のためにこんな仕掛けになっているのでしょう?
図鑑には書いてありませんでした。

コブシの実

コブシ(辛夷)
 モクレン科 モクレン属


2014.10.26 

 市民の森で最後まで花を咲かせていたのはヒメジョオン。 寒さのためか段々小さくなってきました。ハルジオン同様、北アメリカ原産で図鑑には「都市周辺のごく一般的な雑草」 と書かれていています。確かに暑い時期に群れをなして咲いていれば「雑草」と片付けてしまいますが、この寒さの中、 ひっそり咲いているのを見れば、「ヒメジョオンです。」と紹介したくなります。
 ハルジオンとよく間違われますが、ハルジオンは葉の基の部分が耳形で茎を抱き、茎が中空。ヒメジョオンは葉が茎を抱かず、 茎は白い随で満たされている。で、区別できます。

ヒメジョオン

ヒメジョオン(姫紫苑)
 キク科 ムカシヨモギ属 1〜2年草

 市民の森は11月14日でクローズしました。狩猟期にもなり、来春まで観察はお休みです。


2014.12.10 

 森林整備事業部が地方事務所の検査のために市民の森に入るというので、同行させてもらいました。 今年は雪が早く、積雪がある状態での作業になりました。また、狩猟を警戒し、入口に作業に入るという表示をし、皆さん、一番派手な服装で作業に臨んでいました。
 昨晩、八ヶ岳に雪が降ったらしく、ビューポイントからの八ヶ岳は、なかなか幻想的な姿でした。写真よりずっと良かった。

八ヶ岳

2014.4.30