このタイトルで、事務局だより毎号に連載しています。
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2015.3.23 プロローグ |
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左下の写真は、3月16日に森づくり部会の方が、21日のホダ木の搬出が可能か確認に行ったときの駐車場付近です。この先は軽トラでは進入不可という事でした。
右下の写真は、3月23日の同じ場所の写真です。たった一週間で、この違いです。頂上までほとんど雪はありませんでした。自然の力は凄いですね。
春は、ほんとに駆け足でやってきました。 |
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駐車場のすぐそばにニワトコの木があります。枝に瘤のようなものが付いているので、近くに寄ってみると花芽です。
花芽を冬の寒さから守るための外套の役目の芽鱗(がりん)も開き、もう、ブロッコリーに似た蕾が見えています。
1月16日に行われた冬芽の観察会で、冬芽の寒さ対策には主として@毛で覆う、A芽鱗で包む、Bねばねばの粘液で守る、 の3種と学びました。ニワトコはAの例です。
山菜好きの方から、ニワトコの若芽は美味しいと聞きます。しかし、山と溪谷社の「山菜・木の実」には、「葉が開く前の若芽は美味しく、和え物や天ぷらで食べられる。
しかし、青酸配糖体を含み、人によっては中毒症状を起こすので、口にしないほうが良い。試す場合は2〜3芽にとどめ、ゆでてから十分に水にさらす。」と記述されています。注意しましょう。
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ニワトコ(接骨木) スイカズラ科 ニワトコ属 落葉低木 |
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2015.4.17 |
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まだ葉が芽吹かない枝から、玉のれんのように淡黄色の花がぶら下がっているのはキブシです。この株の花を良く見ると雌しべが退化した雄花のようです。キブシは雄花をつける株と、雌花をつける株が別です。(雌雄異株)
雌花は図鑑で短黄緑色と表現されるように、雄花より緑がかった花になります。市民の森では雌株も観察していますが、随分遠い所にあります。雄花の花粉は届くのでしょうか?
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キブシ(木五倍子) キブシ科 キブシ属 落葉低木 |
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2015.5.23 |
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市民の森を白く彩るのは、ウワミズザクラ、カスミザウラ。次がコナシ、ミヤマザクラ。そしてウツギが咲き始める前の今の時期は、サワフタギ。雄しべが長くて多い花は、ミヤマザクラを子ぶりにした感じ。
名前の由来は、沢に蓋をするように枝を張るためと言われています。
別名がルリミノウシコロシなのは、その実が瑠璃色であること、この枝で作った鼻輪で牛を制御したことなどから、との説もあります。
この木はガイドブックの表紙を飾ったシロシタホタルガの幼虫の食樹です。例年ですと、この木には必ずと言っていいほど幼虫がいるのですが、今年はまだ見ていません。今年は、何か違います。
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サワフタギ(沢蓋木) ハイノキ科 ハイノキ属 落葉低木 |
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2015.6.16 |
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今、ガマズミが見頃です。市民の森では、ガマズミの仲間を、数種観察できます。花の咲く順に、5月初め、真っ先にオオカメノキ、そしてオトコヨウゾメ、コバノガマズミ、ヤブデマリと続き、最後にガマズミです。
観察仲間で、同じガマズミ属でどうして花期をずらしているのか話題になりました。虫に花粉を運んで貰うため同じ属で競合しないように? 近親交配を避けるため? 結論は出ません。
植物が話せれば聞いてみたいものです。名前の分からない植物も「あなたは誰?」と聞けたら同定で悩まなくて済みますが、楽しみも減るのでしょうね、きっと。 |
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ガマズミ(莢迷) スイカズラ科 ガマズミ属 落葉低木 |
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2015.7.10 |
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春早くから、市民の森のあちこちで、イケマのつるが伸び出します。
そして今、イケマの花が咲きだしました。花柄が四方に伸び、その先に一個ずつ花をつけます。花が全部開くと、夜空に広がった花火のようです。
イケマはアサギマダラの幼虫の食草で、市民の森で5月には葉の裏に卵、6月には黒、白、黄色のまだら模様の幼虫、7月には葉裏にぶら下がる蛹が観察できました。観察会の人達は、イケマを見つけると、すぐ葉裏をチェックします。アサギマダラは、一枚の葉裏に一個しか生みませんから、あちこちで卵を観察することが出来ますが、無事、羽化した後の蛹の殻は見かけません。天敵が多く、なかなか、成虫になるのには難しいのかもしれません。
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イケマ(牛皮消) ガガイモ科 カモメヅル属 つる性多年草 |
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2015.8.18 |
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どこででも見かけるツユクサ、今、涼しげに咲いています。
正面から見ると、ミッキーマウスの耳の様な花びらが可愛げです。
そんな可愛げな花も、作りは巧妙で、したたかです。 |
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中心にある花粉を出さない飾り雄蕊、先端にある花粉を出す雄蕊、中間にあるY字型の雄蕊(花粉を出す出さない2説がある)の3種の雄蕊をもっています。雌蕊はある個体(両性花)とない個体(雄性花)があります。目立つ飾り雄蕊で虫を誘っておいて、先端の雄蕊の花粉を運んで貰う仕掛けだそうです。 |
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しかも、これだけでは受粉できるか不安なのか、花が萎むころには先端の雄蕊雌蕊が縮み絡まり、自家受粉するそうだ。
こんな小さな花一つ一つに、子孫を残すための戦略があり、種を作るまでの物語があり、自然観察の材料は沢山あり、飽きることはありません。
ツユクサ(露草) ツユクサ科 ツユクサ属 一年草
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2015.9.27 |
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秋は、タデ科の花々で賑やかです。ミズヒキ、ミゾソバ、イヌタデ(アカマンマ)、ハナタデ、タニソバなどなど。
皆、粒粒の小さな花が付く目立たない花ですが、一つ一つ観察すると、なかなか可愛いものです。
ミゾソバに着目してみましょう。ミゾソバの葉は斑が入り、ほこ形で、牛の額に似ているということでウシノヒタイと言う別名を持ちます。花は白色から淡黄色まで個体差がありますが、白い花びらの先に紅がさしたような風情があります。当会発行の市民の森ガイドブックのミゾソバの欄に「少女が初化粧したような可憐な花なのに無粋な名前がかわいそう」という感想が載っています。花の名は「溝に生えるソバに似た葉の草と言う意味」なのだそうです。確かに、水辺が好きらしく、市民の森の沢沿いの小径に群れて咲いています。散策で見かけたら、是非、じっくり観察して見て下さい。
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ミゾソバ(溝蕎麦) タデ科 イヌタデ属 一年草 |
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2015.10.9 |
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これは花ではありません。ボタンヅルの果実です。
放射状についた中心のあずき色の粒々が種で、そこから出た白い髭が冠毛で熟すると綿毛になります。
8月初めに真っ白な花を咲かせ、9月には種ができますが、写真の中心の粒々は薄緑色で爽やかです。
それが10月にあずき色になり、そして綿毛が開き長い間ついています。冬の林で落葉した木に覆いかぶさっている
綿毛はこれです。低木に絡まって厄介な蔓ですが、季節ごとに変化を楽しめる植物でもあります。
ボタンヅルは園芸種のクレマチスとお同じ仲間で、別荘地に自然に出てきたのをアーチに仕立てている方も
見かけます。長い間、楽しめますから、お勧めですが、我が家には出てきません。土地の好みがあるのでしょうか。
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ボタンヅル(牡丹蔓) キンポウゲ科 センニンソウ属 つる性落葉木本 |
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2015.11.10 |
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市民の森も14日でクローズです。木々も葉を落し、冬支度です。
写真はトチノキの冬芽です。冬芽の中には来春に葉や花や枝になる芽が入っています。冬芽たちは、寒さ、乾燥から芽を守るために、
いろいろな工夫をしていることを昨年の冬の観察会で学習しました。
@鱗のような芽鱗(がりん)で包む。(コナラなど)
Aネバネバの粘液で覆う。(トチノキなど)
B毛で覆う。(コブシなど)
このトチノキの冬芽も、芽を触るとネバネバしています。
「なるほど」「なるほど」と言いながら皆で触ってみましたので、粘液を減らしてしまいましたが、この冬、大丈夫でしょうか。
来春、ホオノキと同じくらい大きな葉を元気に展開するのを楽しみに、今年の観察日誌は終わりです。
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トチノキ(栃の木) トチノキ科 トチノキ属 落葉高木 |
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2015.12.10 |
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市民の森に間伐地の検査に入るというので、便乗させてもらいました。
先月掲載した冬芽の保護戦略
@鱗のような芽鱗(がりん)で包む。(コナラなど)
Aネバネバの粘液で覆う。(トチノキなど)
B毛で覆う。(コブシなど)
のB、駐車場の脇のコブシはみな、お揃いのふかふかした毛の外套をまとっていました。
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コブシ(辛夷) モクレン科 モクレン属 落葉高木 |
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池の薄氷 |