活動実績報告


第2回森林文化学習会[9月12日 森林観察学習部会]

〜森林文明の変遷を通して人と森林の関わりを学ぶ〜
森林に囲まれて生活している諏訪圏の市民として、森林と人との関りを理解し、私達の生活圏の今後をより豊かなものにしてゆく指針を学びます。
日  時 9月12日(日)午後2時〜午後4時 20100912学習会
場  所 茅野市文化センター 学習室
講  師 中堀 謙二先生(信州大学農学部 講師)
参 加 者 21名 
5回シリーズ第2回目の学習会が、参加者21名(一般参加7名)で行われました。
今回は「気候変動と森林文明」です。文明の衰退は自然再生力に深く関わっており、地中海気候地域では、森林を求めて文明の中心が放浪したことを学びました。
次回(11月21日)は、「日本列島における人間と森林の歴史@」で、いよいよ日本の話になります。
途中からの参加も、1回のみの参加も可能です。大勢の皆さんの参加をお待ちしています。

学習会レジメ

 

森と文明
西(地中海地方)と東(東アジア)
信州大学農学部  中堀謙二
文明の衰退は自然再生力と深く関わっている。地中海気候域では、文明の中心は、 メソポタミアからギリギリシャ、クレタ、キプロス、ローマ、イベリア半島と放浪し、一つの文明の継続期間は数百年に過ぎなかった。 一方、モンスーン気候地域では、中国や日本の文明はほぼ同一地域で展開してきた。その違いの背景に自然資源の再生力がある。 その違いを生み出しているのがヒマラヤ山脈である。本講義では、ヒマラヤ山脈とその東西地域の気候・植生・自然回復力の関係について解説し、 地中海地域の文明に焦点をあて、その盛衰と森林資源との関係について論じる。
1. 気候:西は乾燥・東は湿潤
1-1 夏季におけるヒマラヤ山脈南斜面での大気循環
1-2 夏期の赤道西風がモンスーン気候を生む
1-3 乾燥度示数が示す冬雨気候・夏雨気候
1-4 ヨーロッパにおける年間降水量と年間蒸発量の差
1-5 ヨーロッパの気候区
2. 植生:西は硬葉樹林・東は照葉樹林
2-1 植生 西は硬葉樹林・東は照葉樹林
2-2 養分元素割合が示す生態系の安定性
 回復力の乏しい地中海植生・熱帯林
2-3 回復力の強い自然・回復力の弱い自然
3. 食文化:西は小麦牧畜・東は水田
4. 文明:西は放浪・東は定着
  自然回復力の弱い地中海気候地域で文明は放浪した
5. 森と地中海文明
a) ミケーネ文明(BC17c-13c)
b) 古典ギリシャ文明(BC8c-1c)
BC8世紀 豊かな森林資源
BC5世紀 艦隊増強 ・ 戦火からの都市復興
BC5世紀 絶頂期のアテネ
枯渇する森林・燃料
宗教的規制・世俗的規制(法律)でも止められなかった森林資源の減少
c) ローマ文明(BC4c-AD4c)
興隆期
帝政ローマ(BC27-AD476)

参加者の声(アンケート)


5回を通してのアンケート

2010.9.12