H30年度 事業計画・報告

事業報告

2018.9.14

筑波大学菅平高原実験所 樹木園見学会

~樹木園見学と森林の復元の取組みを学ぶ~    [森林観察学習部会]


日程: 9月14日(金)
場所: 筑波大学菅平高原実験所
参加者: 23名(うちスタッフ2名)

 利用バスは27人乗りでしたが、スタッフを含めて23人での実施となりましたので、ゆったりのバス旅行となりました。
 天気予報に雨マークが付いていましたが、一滴の雨もなく暑くもなく観察会日和でした。
 到着後、まずは出川さん(准教授)の講義「植物を支える菌類のはたらき」を聴きました。講義は当会と出川さんの出会いとなった「樹木の切り株の橙色のドロドロ」の酵母の話から入り、次々と興味深い話が飛び出し予定の40分はあっという間で60分で終了としました。
 午後は、山中さん(技術職員)に樹木園を案内して頂きました。特に興味深かったのは、菅平には遺存種が数多くということで、オニヒョウタンボク、ヤマハマナス(カラフトイバラ)、クロビイタヤ(シバタカエデ)、クロミサンザシ、ハナヒョウタンボクを観察できました。
 これらは数万年前、地球が今より寒かった時代(氷河時代)には現在より広い範囲に分布していました。しかし氷河時代が終わると、気候が温暖になって生育できなくなったり、別の生物との競争に負けたりして寒冷な地域へ追いやられ、多くはより北へ、標高の高い地域へ移動しました。菅平は中心部の標高が約1250mの盆地で冷気がたまりやすく、年間の平均気温は北海道の稚内と同じくらいなので北方系の遺存種が見られるのだそうです。
 開園当初は樹木の見本園を目指し外来の樹木を含め多くの樹種が植えられましたが適地ではなく生育できない木も多く、途中で方針を変更し菅平本来の自然を復元する取り組みとしてブナを植ることになったそうです。しかし、まだまだ途上で、貧弱な森の印象がぬぐえませんでした。自然の復元の難しさを感じました。  講義と樹木園見学という贅沢な企画だったので、少し時間が足りなかったと反省しています。
 特に講義は、内容が興味深いのに駆け足で飛ばしたところもあり、続きの講義を受けたいという声も多かったので、是非、出張講演を企画したいと思います。

トピック

 講演 「植物を支える菌類のはたらき」 出川洋介氏(筑波大学生命環境系 准教授)

講義風景

講義風景

出川准教授

出川准教授

 樹木園観察 案内 山中史江氏(技術職員)

樹木園の経緯の説明

樹木園の経緯の説明

樹木の観察

樹木の観察

ブナ再生林

ブナ再生林

樹木の観察

樹木の観察

クロビイタヤ

クロビイタヤ

遺存種 カラフトイバラ

遺存種 カラフトイバラ

遺存種 ハナヒョウタンボク

遺存種 ハナヒョウタンボク

ゴマキ

ゴマキ

チドリノキ

チドリノキ
葉に切れ込みのないカエデ

ヒトツバカエデ

ヒトツバカエデ
葉に切れ込みのないカエデ


その他観察した植物(市民の森で観察していない物のみ記載)

チョウセンゴヨウ

ヒメコマツ

ストローブマツ

アスナロ

タムシバ

サルナシ

マルバノキ

ヒロハツリバナ

オオバボダイジュ

サワグルミ

ドロノキ

ギンドロ

ヤハズハンノキ

ブナ

ザリコミ

クロミサンザシ

ヤマハマナス

アサノハカエデ

ヤチダモ

オニヒョウタンボク


私たちは、このような活動を通じて人と森林との新たな関係を作り出し、豊かな森林を次世代にバトンタッチしたいと願っています。