月例観察会  (H25年度)


  毎月1回の、市民の森を散策し、楽しみながら、生態観察をしよう! という会です。
今年は、一歩前進して、市民の森を散策される方への情報発信と、樹木の名札掛けをします。
情報発信は、その月の観察結果のまとめを市民の森に掲示します。


2013.4.16 

  昨年からの継続メンバー17名、新規メンバー2名の計19名で今年の月例観察会がスタートしました。 昨年、大所帯で苦労したので募集を控えめにしましたので、予定の22名に達しませんでした。長丁場ですから今後も定員まで参加申し込みは受け付けていきます。興味のある方はお問い合わせください。
 今年は、一歩前進して、市民の森を散策される方への情報発信と、樹木の名札掛けをします。第1回目は準備した25個の名札を皆さんに持って頂き、該当する樹木に掛けながら巡りました。皆さん、子供のように大はしゃぎで楽しみながらの作業でした。
 また、毎年初回に行っているゴミ拾いは、ビン、缶など、茅野市ゴミ袋3袋にもなりました。マナーを守 っての利用をお願いしたいものです。
 冬眠明けにしてはちょっと欲張り過ぎのメニューで、少し時間オーバーでした。次回からはのんびり行きます。

観察会風景 名札掛け

月例観察会  4月の掲示(PDF:493KB) 


2013.4.28 

 第一回特別観察会として、日本野鳥の会の両角英晴さんをお招きして野鳥の観察を行いました。
 当日は、20日の市民の森の森開きが28日に順延となったため、駐車場等の混雑を避ける為、9時までに終了するという落ち着かないスケジュールになってしましました。

観察会風景

観察した野鳥 26種

(縦にあいうえお順)

アカゲラ
アオゲラ
イカル
ウグイス
エナガ
カワラヒワ
キジバト
キセキレイ
キビタキ
クロツグミ
コガラ
コゲラ
コルリ
サンショウクイ
シジュウカラ
センダイムシクイ
ノジコ
ノスリ
ハシブトガラス
ヒガラ
ヒヨドリ
ホオジロ
ミソサザイ
メジロ
ヤブサメ
ヤマガラ

クロツグミ ロルツグミ

クロツグミ


2013.5.21 

 コナラの淡い緑が清々しい新緑の季節を引き立ててくれます。
  沢沿いの小道で観察しすぎてお昼は頂上で、終わりは4時近くになり、皆さん大部疲れたことと思います。

 それでも心ゆくまで観察できた事に満足感を感じたのではないでしょうか?水車小屋の満開のズミ花、オトコヨウゾメ、ガマズミ等の白い花々、今の季節は白い花が多いようです。オオムラサキの幼虫も来月も無事に大きくなっていることを楽しみにしています。

観察会風景

月例観察会  5月の掲示(PDF:505KB) 


2013.6.18 

 観察会が終わるまで天気が保つかと思われましたが、頂上を過ぎたあたりからポツポツと落ちてきました。昼食を駐車場でとることにして急いで廻りました。今回はいつも頼りにしている井村さんがお休みなので馬場さんに先生になってもらい主に蝶の観察をしました。蝶の雌雄で羽の色が異なること、表裏での羽の色、模様の異なること、オトシブミの葉にくるまれた卵の小さいこと等々。今回の観察会はいつものとは違う発見が多々ありました。オオムラサキの幼虫も丸々と太って来月が楽しみです。帰りには入り口の門の所でアサギマダラがお見送りをしてくれました。
 左側の写真はメスグロヒョウモンの交尾中のものです。上がメスで黒っぽい色をしています。

メスグリロヒョウモン交尾 観察会風景

月例観察会  6月の掲示(PDF:389KB) 


2013.7.16 

 「飛んでる!」「どこ、どこ」「あそこ、あそこ」
 とうとう、オオムラサキが飛んでいるところを皆で見ました。蝶々がヒラヒラという飛び方ではありません。ビュー、ビューと直線的に飛びます。これでは、飛んでいるところを見たとしても蝶とは思わなかったでしょう。大型なので鳥みたいという感想も。
 蛹の抜け殻も3頭。そして、蛹が葉にぶら下がる仕組み、マジックテープのようにフックが付いた先端、そして、キラキラ光る糸で支えているのを丹念に観察し、皆さん興奮気味。

オオムラサキ蛹 観察会風景

 頂上広場手前のエゾエノキの木の傍から去りがたく、オオムラサキが飛来するのを待ちながらの昼食にしました。
 その甲斐あり、飛ぶ姿、枝にとまった姿も確認できました。

オオムラサキ

 これで、昨年8月に卵を見つけてから、成虫まで、オオムラサキの一生の観察ができました。
今年から、観察会の結果を市民の森を散策する方へのメッセージとしてA4裏表の資料として纏め、市民の森の駐車場に掲示しています。また、その資料は当会ホームページの月例観察会のページに掲載しています。そちらも是非ご覧ください。

月例観察会  7月の掲示(PDF:469KB) 


2013.8.20 

 暑い日が続いているので、時間短縮と、日向の上り(水車小屋から頂上まで)を避けて、水車小屋から頂上までは車を使いました。沢沿いの小径、北コース、南コースを回りました。 沢沿いの小径では、ヒキガエルが水浴中。涼しげでした。

観察会風景 ヒキガエル

 下見の時にオオムラサキの卵を見つけていましたが、本番では、もう孵化した後でした。全員で幼虫を捜しましたが、沢山の葉の中の5mm程度の虫を探すのは大変。やはり眼のいい一番の若手が見つけました。 同じ木には、蜘蛛もウロウロしています。誰となく、「頑張れ」と声を掛けてきました。

オオムラサキ幼虫 ツルリンドウ

 また、ツルリンドウの花を始めて観察しました。ツルリンドウの葉と実は良く観察するのですが、なぜか花に出合うことがなく、ガイドブックにも蕾の写真しか掲載でませんでした。ガイドブック発行後も、続々と植物、昆虫写真の種類が増えています。ぜひ、続編を出したいものですね。

月例観察会  8月の掲示(PDF:576KB) 


2013.9.17 

 今月の月例観察会は、植生調査研修会としました。  森の遷移を実体験する機会として市民の森の伐採跡地の遷移の調査を開始するために、その手法である植生調査の意義、技術の理解、演習を行いました。

 午前中の座学では、「森のどんなことをしらべるのか」「森の様子を調べる方法とは」と分かり易いアプローチで、お持ちいただいた資料、道具を囲み、和気あいあいで活発な座学でした。

植生調査座学

 午後には、市民の森に移動し、昨年の間伐地に設置した演習用3区域(5m×5m)を3班に分かれて同じ基準で調査演習を行いました。
 この演習で、こんな小さな区画でも、結構、体力、知力が必要であることを実感しました。

 講師から植生調査に決まった方法はなく、長く続けるためには、自分たちの目的、技量、体力に合った調査方法を設定して実施すればよいというアドバイスがありました。  これから、この研修会の実績を生かし、本格始動に向かって、調査方法を確立し、区画の選定を行います。

植生調査演習

 調査区画へ移動する途中、中央コース入口にあるウダイカンバの胸高直径を測ってみました。69.5cmありました。使ったメジャーは裏面のメモリを読み取れば直径がすぐに分かる優れもの。

胸高直径の測定

月例観察会  9月の掲示(PDF:616KB) 



2013.10.22 

 先月は植生調査の研修会と演習のため、2か月ぶりの散策路の周遊です。

 2か月も間が空くと森の様子も大分変化していました。向こうが見えなかったブッシュも見通せるようになり、今まで見えなかったものが見えてきます。今年は、アオハダ、ツリバナの赤い実が目立ち、こんなに本数があったのかと再認識しました。

観察

 リュウノウギクが群生する斜面では、今、満開。年々増えているので秋の楽しみの一つになります。
 この森で一番早く紅葉するのはサクラ系統の葉です。紅葉の変化、虫の穴の変化、落ち葉集めも秋の楽しみの一つです。しかし、やはり秋の楽しみの一番はキノコ。夕飯の味噌汁の具の収穫もできました。この観察会も今年は残りあと一回になりました。

リュウノウギク 落葉

月例観察会  10月の掲示(PDF:495KB) 


2013.10.25 第一回 間伐地植生調査

 9月17日に実施した植生調査の研修会、演習を踏まえて、有志を募り9名の参加で実施しました。
 今回はH24年度、H23年度間伐地の2カ所それぞれに5m×10m区画を設定し、2班に分かれて調査しました。
 研修会講師の「長続きさせるために、とにかく楽しみながらやりましょう。」というアドバイスに従い、無理のない調査項目を設定し、各班、適材適所の作業分担を決め、和気あいあい実施しました。
 森の中での気の合った仲間での作業、こういう作業もまた森林療法のひとつになるかもしれません。
 調査項目は以下の通りです。
@被度(地表が草本で覆われている百分率)
A樹高50cm以下の木本の樹種数と樹種毎の本数
B樹高50cm以上の木本についての毎木調査
 樹種、直径(50cm位置、130cm以上の場合は胸高直径)、高さ、生枝下高

 結果の概略は次の通り。

項目 H24年度間伐地 H23年度間伐地
特徴 谷筋 ほぼ平坦 尾根筋 斜度15度
@ 90% 60%
A 24種
コナラ 12本
アカマツ 11本
クリ 1本
12種
アカマツ 46本
カラマツ 19本
シラカバ 3本
B 15本
最高木180cm
ウリハダカエデ 5本
ウリカエデ 2本
クリ 1本
コナラ 1本
11本
最高木210cm
ウリハダカエデ 5本
コナラ 3本

 来春、H25年度間伐地にもう1区画設置し、以降毎年3区画の調査を継続していく予定です。

H24年度区画班

H24班 林冠の開き具合

調査区画中央からの林冠の開き具合

H23年度区画班

H23班 林冠の開き具合

調査区画中央からの林冠の開き具合



2013.11.12 

  この冬一番の寒さという天気予報なので、開催しようか迷いましたが太陽が出ているので決行しました。 この寒さの中、「この地でこれしきの寒さは序の口」と皆さん完全武装で集合しました。 この季節、「観察するものは何もないんじゃない?」と言われますが、そんなことありません。
 カラマツの森は明るく、楽しみもあります。 散策路を覆う落ち葉は、色も質感も違います。

観察会風景

紅葉して落ちるカスミザクラ、ヤマモミジ、黄葉して落ちるダンコウバイ、褐色の大きな落葉はホウノキ、緑のまま落葉するヤシャブシ、落ち葉をみて植生が分かります。もう、来春の赤い花芽を付けているアブラチャン、白いコートを着込んだコブシの花芽。緑みずみずしく切株を覆う苔。観察するものは沢山あります。そして、エゾエノキの根元では、オオムラサキの幼虫が茶色に変身し越冬態勢です。

観察会風景

落葉の特徴

 今年の月例観察会も今回が最終回です。市民の森の生物たちに一年楽しませて頂きましたし、観察会メンバーの繋がり、これも、成果の一つと思います。
 もう一つ、前回に観察したトリカブトについていたエメラルド色のアブラムシ。これは、「アブラムシ入門」の筆者であるアブラムシ研究者の松本氏がわざわざ市民の森を訪れ、トリカブトフクレアブラムシと同定されました。植生調査研修会のご支援を頂いた長野県環境保全研究所 尾関氏も含めて、このような、専門家との繋がりもこれから大事にしていきたいと考えています。

苔むす切株 オオムラサキ幼虫

切株の苔

オオムラサキ幼虫

月例観察会  11月の掲示(PDF:564KB) 



2013.12.21 

月例観察会 トピック1 

 昨年8月にオオムラサキの卵を見つけてから、今年7月に飛翔した成虫を観察するまで、メンバー全員が暖かい目で市民の森のオオムラサキを見守りました。その経過を纏めてみました。下の図をご覧ください。
 蝶の幼虫の食草・食樹は決まっていて、蝶の多様性は植物の多様性に依存すること。
 エゾエノキの枝、葉に産まれた小さな卵にも寄生する昆虫がいること、葉の上で生活する幼虫を狙うクモ、鳥の存在など市民の森での食物連鎖。
など、いろいろな書物での知識を印象深く実体験することが出来ました。

 
 

   2012年8月

幼虫     8月

       9月

       11月

卵 幼虫 幼虫 幼虫
 
 

幼虫   2013年5月

サナギの殻   7月

飛んだ!    7月

幼虫の食べ物は?

幼虫 サナギ 飛んだ! エゾエノキ

エゾエノキの葉

 
 


2014.1.21 

月例観察会 トピック2 

今回は、市民の森の動物たちを特集します。
観察会で、動物たちの観察は運が頼りです。植物のように移動せず時期が来れば花が咲き、時期が来れば実がなるのと訳が違います。ガイドブック製作時にも動物の写真がなく、色々な伝手を頼って無料で提供して下さる方を捜したという苦労がありました。
今年、市民の森で運が味方して撮れた動物写真をご披露します。動物たちの個性的な装いをお楽しみください。
また、市民の森で動物の目撃情報、写真などお持ちの方は、是非、月例観察会 担当井村までお知らせください。

 
 
ニホンカモシカ タヌキ ヤマドリ

ニホンカモシカ  3月
なかなか立派な風貌でした。
ハイイヌガヤの谷が縄張りか?

タヌキ  10月
下見のスタッフをトボトボとツケてきました。

ヤマドリの羽  9月
今年は姿を見ていませんが、派手な模様の羽です。

 
 
アマガエル ヒメアカハネムシ ハンミョウ

アマガエル  4月
変身途中なのでしょうか?
迷彩色でカモフラージュ?

ヒメアカハネムシ  5月
触角の形状もなかなか凝って
います。翅の色も個性的。

ハンミョウ  6月
なんという色使いでしょう!何のための装いなのか?

 
 
トリカブトフクレアブラムシ

トリカブトフクレアブラムシ
        10月
トリカブトの葉に群がる瑠璃色の美しいアブラムシ。

ヤママユ

<同定物語>
アブラムシ好きのメンバーが、「アブラムシ入門」の著者の松本
嘉幸氏に同定を依頼しました。 松本氏もこの色の個体を見た
ことがないと驚き、確認に来たいとの連絡があり、11月8日市
民の森を訪れ、熱心に写真を撮って行かれました。
図鑑が再販される時に掲載されるかも。

ヤママユ  8月
鮮やかな緑色をした繭を作り、その糸は「天蚕糸」と呼ばれます。

 
 
シロシタホタルガ アオバセセリ セスジナミシャク

シロシタホタルガ  7月
ガイドブックの表紙を飾る芋虫の成虫。やっと会えました。

アオバセセリの幼虫  10月
芋虫は嫌いな人が多いですが、「見て、見て」個性的ですよ。

セスジナミシャク  10月
翅の裾模様は、なんと手が込んだ模様ではありませんか。

 
 


2014.2.26 

月例観察会 トピック3 

 今回は、市民の森の樹木を特集します。
何度も通る道でも、気づかずに通り過ぎていた樹木、花を初めて見た樹木など、まだまだ、発見があります。
今年の発見の一部を紹介します。

 
 

ハルニレ(春楡)
頂上への道の脇の沢の畔にありました。春の芽吹きの時に、周りの木と違った風情で気づきました。湿潤で肥沃な地を好むと言われていますから、沢が好みのようです。

卵 幼虫
 
 

ミズメ(水目)
良く通る池のT字路で、大木先生に指摘されて初めて分かりました。沢山あるサクラ系統の木と素通りしていたようです。
枝を折るとサリチル酸メチル(サロメチール)の匂いがするので、ヨグソミネバリという別名もついています。

卵 幼虫
 
 

ミツデカエデ(三手楓)
駐車場の崖下を、黄色の花で埋めました。こんなに花を付けても、種はできません。近くに雄株がないようです。
紅葉も十分楽しめました。

卵 幼虫
 
 

アオダモ(青だも)
 暗い中央コースにあるアオダモの花を初めて観察しました。間伐で明るくなれば、見事な白い花を見れるのを期待しています。
アオダモは木肌が美しく、住宅の玄関などに植えられます。

卵 幼虫
 
 

2013.4.29